KIDUR

A MOYNATION ROY社は、フランス南西部に位置するBRESSUTRE(ブレシュイール)の町で1925年に機織りメーカーとしての活動を開始します。彼らの生産する生地は多種多様な物でしたが、なかでも打ち込みの強い、ヘビーウエイトの生地はその耐久性から作業着用の生地として多く引き合いがあり、そこに着目した同社は、生地作りで培ったノウハウを次のステップに移すべく、満を持して1935年に自社でのワークウエアの生産に着手します。こうして生まれたブランドはKIDUR(キドゥー)と命名されました。KIDURはフランス語の”QUI DURE”の音から取った造語であり、本来の”QUI DURE”は「それは永続する」という意味を持ち、生地作りからこだわりぬいた彼らの製品がいかにタフで長持ちするかを表した、ブランドの理念と自信を表した物です。生産されるアイテムはカバーオールやワークパンツなど多岐にわたりますが、彼らのブランドを最も印象づけているのは、ワークシャツを前面に打ち出したアイテム構成でした。特に日本では「グランパシャツ」と呼ばれる、激しい作業中でもタックインしたシャツが容易に抜け出る事がないよう着丈が長めに設定され、作業中に腰を冷やさないよう配慮されたプルオーバーシャツは彼らの代表的なアイテムでした。彼らのユニークな点は製品だけでなく、その販売方法にもありました。営業マンが思い思いにブランドロゴを配慮し、ペイントしたオリジナルのトラックに自慢の製品を詰め込み、各地の工場、農家を回り、その軒先で即席のショップを出店します。インターネットもなく、販売網の限られた中で、時間のないワーカーたちにとっては非常に便利なサービスであったことも重なり、彼らの製品は瞬く間に近隣の工場や農家等で利用されるようになります。またイージーオーダーサービスにも積極的に取り組み、生地ブックを携帯し、その場で生地を選択してもらうことで、工場・農園オリジナルの製品を作ることが可能となり、当時としては珍しかったこの取り組みも大きな反響を呼びました。その後、A MOYNATION ROY社は、社名も変わり、その活動内容も徐々に近代化されていきますが、途切れることもなくMADE IN FRANCEの灯を守り、培われた物づくりのノウハウ=”SAVOIR FARE”を後世に伝えるべく、今でもBRESSUTREの町では創業当時と変わらずミシンの音が鳴り続けています。

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