平野刷毛製作所の洋服ブラシ

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「バカヤロ―の日」だそうです。

筑波西武がとうとう閉店しちゃったよバカヤロー!

 

あ~悲しい。

筑波西武ができた32年前=1985年は、つくばエキスポ85科学万博が開かれた年でもあるわけです。

それまで大学くらいしかなかった筑波に、突如として商業施設が現れました。

それが筑波西武。

周囲はほぼ更地でしたが、週末は遠くの駐車場に車を停めないと入れないくらいの賑わい。

それもそのはず。陸の孤島とまで言われたこのつくばに百貨店ができたんですから。

私も小学生の頃は、「西武に行くぞ」と親に言われただけで大はしゃぎをしたもんです。

当時は西武ライオンズが異常に強かったので、いつも優勝感謝セールをやってたイメージ。

 

しかし時代の流れとは恐ろしいもの。

周囲に大型ショッピングモールが立ち並び、ネットショッピングが伸びるとともに、

百貨店というビジネスモデルが時代遅れになってきているのかもしれません。

もちろんかく言う私も百貨店などでそうそう買い物をしたことはないのですが、

やはり年輩の方に渡す手土産は西武の袋に入ってた方がいいよな~とか、

お中元・お歳暮は西武から送るようにしていました。

そんなのも本当はネットでポンポン買えちゃうんだけど、やっぱり渡す相手のことを考えると、

お店に足を運んで実際に品物を手に取って、大きさや重さを確かめたり、

箱を空けた瞬間に喜んでもらえるかどうかを想像しながら買った方がいいと思うんです。

 

というわけで、本日ご紹介する商品は、そんな西武百貨店がなかったら相まみえることがなかったと思われるアイテムです。

 

ドウゾ!

【ブランド】平野刷毛製作所
【アイテム】洋服ブラシ
【価格】羽子板型・¥17,280-(税込)
    水雷型・¥24,840-(税込)
【コメント】

約2年ぶりの紹介になります!ブログ移行してからは初かな?

初めてご覧になる方は、その値段に驚くことでしょう。立派なセーターと同じくらいしますから。
もちろん当店が商品としてご用意するには、それなりの理由がございます。

これを仕入れようと思ったきっかけは、常連さんの「ニットの手入れは?」という相談から。

当店でもそれなりに質の高いニットウェアを扱っています。
ですのでそのような相談を受けるのは、よく考えれば当然のことなんですが、
恥ずかしながら、このブラシに出会うまでは毛玉は刈り取るものだと思っていました。

しかしその考えは、また別の常連さんの情報により、あっさりと変わりました。
ただ私が勉強不足なだけだったんですね。

そのお客様もニットの毛玉に困ってました。
ある日西武百貨店に行ってみると、とある実演販売を行う催事をやっていたそう。
その中で「洋服ブラシ」にふと目が止まりました。
色んなジャンルの専門知識を持った人が集まっているんでしょう。
早速毛玉のことを相談したみたい。
すると、そのメーカーのブラシでサッサッサッと生地を払うと、
みるみる内に毛玉が消えて無くなってしまったんだそうです。
それも決して、取れてしまったわけでもなく、もちろん毛玉を無理やりちぎったわけでもない。
絡みついた繊維があっと言う間にほどけて、元の生地に馴染んでるんだそう!

そのお客様に聞いたブランド名が「ブラシの平野」。今回入荷したブラシと言うわけ。

前置きが長くなりましたが、次はブランド説明です。


元々は「平野刷毛製作所」というペンキ用の刷毛メーカーから始まりました。
創業は昭和17年という老舗中の老舗!60年以上も続いてる職人集団です。
化学繊維を使った大量生産のブラシが出回る中、
頑固に天然素材を使った職人によるブラシ作りを貫いています。


というメーカーさんなのですが、

実はとある事情により積極的な店舗販売は行っておりません。

その「とある事情」はここでは公表できませんが、(店頭で聞いてください。)

ブラシの使い方やニットのメンテナンスに関する説明を、

職人さん自らがお客様1人1人丁寧に伝えながら売っていくという手法でしか販売をしておらず、

そのためデパートでの催事などでしか見ることはできません。

これではなかなか一般の方には広まりにくいというもの。

こんな良い物があるのであれば、是非diariesのお客様にも広めたいと思い、仕入れることを決めました。

ですが値段を見て驚いた方もいらっしゃるかと思います。

普通の洋服ブラシとはゼロが一個多いんじゃないでしょうか?俺も始めはそう思いました。

しかし、ジョンスメドレーなどのウール製品を、当店のような小さな店で安心して買っていただく為には、

必要不可欠なアイテムだと思いました。

某ブランド「G」や「LV」や「MJ」などの各店舗のバックヤードにも設置されているそうです。

また実際使ってみて、そして平野刷毛製作所を訪れ、その効果を知って見ると、決して高い物ではないと感じました。

ちなみにその「効果」とは?

・セーターやマフラーなどのウール製品が、買った時のような表情を取り戻す!
毛玉やホコリを取り除くだけでなく、毛の向きを整えることで、柄と柄の稜線がはっきりし、
発色が良くなって見えるんです。

・毛玉ができにくくなる!
毛玉ができないセーターなんてありません。(ジョンスメドレー以外では)
毛玉とウールは切っても切れない関係。(毛玉は切ったら切れるけど、そのうち着れなくなりますよ。)
ですが、ブラッシングを習慣として身につければ、大事なお気に入りのニットも毛玉ができず、
ずっと長く愛用することができるんです!

・ある程度の毛玉なら、ほぐして生地に馴染ませることができる!(副産物)
「副産物」と書いたのは、「毛玉を無くす」ことが目的ではないため。
「毛玉がなくなる」という言葉があまりにキャッチーなため、
どうしてもその機能に目が行ってしまいますが、毛玉はあくまでも「予防」するに過ぎません。
歯ブラシと虫歯に例えると分かり易いです。
毛玉=虫歯。虫歯は歯磨きでは治りませんよね。
毛玉がほぐれてしまうのは、このブラシがあまりにハイクオリティすぎるからなんです!!!

また歯を削るように毛玉を取り除けば、そのぶん生地も薄くなってしまいます。
(安いクリーニング屋さんだと、勝手に毛玉を取ってキレイに見せるという恐ろしいこともございます。
なので、私は基本的にクリーニング屋さんには出さずランドレスのウール用洗剤で水洗い。
天然素材であるウールが水に弱いわけないと思ってますから!)

またドライクリーニングのような溶剤を使ったクリーニングは、見た目はキレイになりますが、
元々ウールに含まれている脂といった大事な成分も落としてしまいます。
これは常々自分も気になっていたところなんですが、クリーニングに出すとスカスカになって返ってくることもあるんです。

素材によっては、毛玉がものすごいできやすい生地ってありますよね。
あれってやはりアクリルなどが入っているウール製品に多いんだそうです。
理由は、繊維が丈夫だから。
天然ウールは毛玉になれば、自然にちぎれて落ちるんだそうです。
でも、化学繊維は丈夫なので毛玉になっても生地に留まり続けてしまう。
なので、天然でも化学繊維でも毛玉は同じくらいできるんですが、
取れないで残ってしまうから、結果として毛玉が目立つようになってしまうんですね。
それを考えると、ウール100%の製品よりも、アクリルが入ったセーターの方がブラッシングが必要だなと思いました。

そんな洋服ブラシですが、実は6年前に弊店で取扱いを始める時も、最初は断られそうになりました。

しかし実際に工場に足を運んで、洋服を売るだけでなくその後のケアに関しても大事にしていきたいという想いを伝え、卸して頂けるようになりました。
でもそのお蔭で色々お話を伺うことできましたし、想像以上に良い物だということが分かり、
自信を持ってオススメすることができるようになりました。
しかも、「売る」という行為をさらに高い次元まで押し上げてくれました。
どういうことかというと、この「ブラシを売る」という行為は、つまり「ブラッシングという文化を広める」ことなんです。
まずdiariesは革靴に力を入れてラインナップを作りました。
そして当然シューケア用品を用意するようになります。
良い革靴を手入れして大事に長く履く。これは立派な文化と言えるでしょう。
そして今度は、洋服もどんどんクオリティの高い物が入荷してくるようになりました。
それはどれも質実剛健なものばかりで、長く着ることができます。
じゃあ革靴にはシューケア用品があるのに、服はどうしたらいいのでしょう?
そこでお客様から、すごい洋服ブラシがあるというのを教えてもらいました。
さらにはランドレスという洗剤まで扱うようになりました。
実はdiariesが創業以来、ずっと掲げている経営理念があります。
私が創業の準備をしている時に、リク○ート時代にお会いした経営者の方々にお会いして、見よう見まねで作ったものなのですが。
それは「diariesという文化を作る」ということ。
最初はただの言葉だけでしたが、長い年月を経てようやくその土台が作られてきたように思います。(それでもまだ土台だけですけど・・・)
良質な物を大事に長く着る。
今まで私は服好きであるにも関わらず、自分が買った服達に大変可哀想なことをしてきました。
しかしdiariesが掲げるような文化が広まれば、そういった服も減らしていけるんじゃないでしょうか。
私は決してオシャレな方じゃないので、周囲の人に向けた攻めのファッションではないかもしれません。
守りかもしれませんが、その分、身にまとう本人が最も気持ち良いファッションを心がけています。
そんな文化はいかがでしょう?

また同時に、日本の職人さんが持つ素晴らしい技術も守ることができるのではないかと思っています。
ご賛同いただけると幸いです。
それではまた。お店で会いましょう。