※10/7(水)・10/8(木)・10/15(木)・10/22(木)・10/23(金)・10/29(木)は、休店日とさせていただきます。
※夜は閑散としてるので、当面の間18:30閉店です。(割と19時まではいます。お電話いただければ待ちます!)
※今後のイベント日程と納品予定は以下。
今年の7月にオーダーいただいたOLD TOWNは、11~12月頃に届く予定です。
今年の6月にオーダーいただいたLOUNGE ACTは、来年2月までに届く予定です。
次回のアンティークウォッチフェアは、2027年夏頃の予定です。
ダイアリーズの今日は何の日?
今日は「国際協力の日」だそうです。
先日の御船祭にタバンカ祭りと神事続きで、どうした?悩みでもあるのか?と思われそうですが、まあ~常に神頼みはしてますけどね!!!笑
でもこの時期ってそもそもお祭りが多いからですよね。(地元・石岡のお祭りは行かない)
じゃ、商品紹介です!
ドウゾ!

突然ですが、残念なお知らせです。
TENDER Co.のジーンズのイギリスでの生産が、予告なく終了しました。
まだお店に在庫はあるのですが、これが完売してしまったらもう二度と手に入らないと思うと、なかなかブログに書けなくて・・・
今日、重い腰を上げます。笑
僕の経験則からいうと10年に1回くらい感動するジーンズに出会うのですが、
これだけ夢中でいられるジーンズは他にありませんし、いまだに最高のジーンズだと思っています。
イギリス生まれというのも良かったですよね。
服の歴史があるイギリスですが、ジーンズだけはグッと来るものが無かったので。
そんなTENDER Co.のジーンズですが、デザイナー・William Krollの中では一段落といったところなのでしょう。
自身がアメリカへ移住したこと、またブランドを設立した16年前とは生産環境が変わりすぎて、継続も困難だったことは容易に想像できます。
これにて、本格的にTENDER Co.の第一章が幕を閉じた様子。
ということは、第二章が来年から本格的に幕を開けるわけです。
もちろんその中にはいつかジーンズも加わることでしょう。(アメリカ製ジーンズの発売は、まだ企画段階です)
だけど今はまだ・・・
DIARIESが15年間お世話になったジーンズを、最後にもう一度、ウイリアムから届いた新情報を加えて書き記しておきたいと思います!!!!!
(散々内容をパクられたあのブログではございません!また読んでて面白いと思うので、どうぞ最後までお付き合い下さい!)

Tenderは、ジーンズから始まった。
デザインのプロセスとして、クリエイティブなプロジェクトとして、そしてブランドとして、その後さまざまな方向への広がりは、常にジーンズが中心にあります。
ウイリアムがジーンズのデザインに惹かれる理由のひとつは、「守らなければならないルール」がとても多いこと。
そしてほんのわずかな変更が、服全体の印象を大きく変えてしまうこと。
白いシャツや黒いドレス、テーラードスーツについても同じようなことは言えます。
しかし、一旦ブランドとしてのデザインが確立されると、そこからの変更がこれほど少ない衣服は、ジーンズくらいなのではないかと考えられます。
つまりジーンズのデザインとは、得てして保守的なのです。(それが日本人には合うのかもしれない)
Tenderのジーンズについて言えば、最初のシーズンのあとにポケットを少し変更したことを除けば、この16年間、意味のあるデザイン変更はほとんどしていません。
それらのデザインを、もう一度1つ1つ見て頂こうと思います。
ウエストボタン

多くのジーンズにはブランド名などが入ったトップボタンが付いています。
ほとんどの場合、これは中空の金属製の軸に、刻印を施した金属製のキャップをかぶせ、リベット状のピンやタックで服に固定したものとなっています。
既製のデザインを集めたカタログは数多くあるし、日本のカタログには、歴史的なデザインを微妙にアレンジしたものもたくさん載っています。
大手メーカーなら、オリジナルのボタンキャップを作るための金型を用意することもできるでしょう。
ただし、ある程度の品質を求めると、最低発注数量も金型の初期費用も非常に高くなってしまいます。
結局のところ、できあがるのは「いかにもジーンズのボタンらしいもの」でしかありません。
それが正しい場合ももちろんあるでしょう。
歴史的な衣服を再現したいときや、その雰囲気を呼び起こしたいとき、あるいは極めて控えめでミニマルなものを目指すのであれば、それで十分とも言えます。
しかしTenderでは、それぞれの製造工程をできるだけ深く掘り下げてみることにしました。
そしていわば「並行進化」のような、DIY的なものづくりの方法で表現しようと試みたのがTenderのジーンズでした。
取り外しのできるボタン

これまで見てきた昔の制服では、チェンジボタンがよく採用されていることに着目しました。
標準仕様の制服を、特定の会社や役所に合わせて個別化することがその理由とのこと。
看護師の制服では、ボタンを取り外せるようにしておけば、ボタンを傷めることなく煮沸洗濯できる、という理由もありました。
ワークウェアの場合は、洗濯した服を乾燥用のローラー式絞り機(mangle)に通す際、ボタンを外しておけばボタンを潰さずに済むという理由もありました。
ジーンズのトップボタンは、引っ張られて外れてしまうことがあるので、単純に縫い付ける方法が適切ではありません。
チェンジボタンを固定する一般的な方法には、キーホルダーのようなスプリットリング、平たいS字型の金具、そして割りピン(cotter pin)があります。
その中で、スプリットリングが最も汎用性が高いと思われます。
開いた部分がないため、服の他の部分に引っかけたりすることもなく、またヴィンテージウェアでもよく見かけるため。
ただしそれはジャケットなら問題ないと考えました。
ジャケットは基本的に肩で支えられていて、ボタンは前を閉じておくためだけに存在するからです。
ところがジーンズでは、ボタンそのものに服を支える力がかかります。
例えばトップボタンを外せば、ジーンズは途端にずり落ちてしまうでしょう。
さらにスプリットリングで取り付けたボタンに力がかかると、リングが生地に対して直角方向に引っ張られます。
するとリングが起きてしまい、着ている人のお腹に向かって突き出してしまうのです。
一方、S字型の金具や割りピンなら、生地に沿って平らに収まります。
これで留め具は絞られました。
S字型の金具には良いものをいくつか見つけたが、取り付けが面倒で大きさも十分ではありませんでした。
ボタンホールが伸びてきたときに、ボタンそのものが金具をすり抜けてしまうのではないかという心配もありました。
一見するといちばん適していないように思えた割りピンが、最終的には最も良い方法になったのです。
(なるほど!あのピンはそういう理由があったんですね!!!)
ピンをボタンの上から差し込み、生地のほうへ向かって折り曲げる。
すると、実際にジーンズを履いて生地にテンションがかかったとき、ピンの開いた端がウエストバンドの内側へ引き込まれるようになります。
これによって、ピンの先端が肌に当たって不快になるのを防げるだけでなく、ボタンの向きも固定され、回転しにくくなるのです。
最初はスチール製の割りピンを使っていました。そして最終的には真鍮製のものを作っているところを見つけました。
真鍮はスチールより柔らかいので、ボタンに沿って曲げることができます。
そして服を着ているうちに、生地の中へ自然に馴染んでいくのです。
ロストワックス鋳造のボタン

ボタンは、ロストワックス鋳造による真鍮製ボタンです。
これは、一般的なジーンズボタンのキャップをプレス加工する方法とはまったく正反対のものになります。
ロストワックス鋳造は非常に時間がかかり、高度な技術も必要になります。そして大量生産によるスケールメリットがほとんどありません。
しかしTenderのジーンズにとっては、それがむしろ意味を持ちます。
大量生産を前提にした製品を、小ロットで妥協して作るのではなく、小ロットだからこそ可能になる方法だからです。
フロントフライ

ジーンズの面白さのひとつは、前述した通りルールが多いこと。そして、小さな変更だけで服の印象が完全に変わってしまうことと考えています。
例えば(Robertとの協業ブランドである)WORKINGのようにジッパーを使用することは、Tenderでは御法度でした。
ジーンズのフロントフライをボタンフライにしたのは、ワークウェアとしての歴史的な時代背景が理由のひとつでした。
またそれ以上に、Tenderの服を構成するすべての要素を、デザイナー本人が理解するため、理解できる状態にしておきたい、という理由からでした。
ボタンフライ
伝統的なジーンズには、4個か5個のボタンが使われます。
一方、オーバーオールのように、その下に丈のある衣服を着るものでは、もっと少ないことがあります。
3個、2個、さらには1個だけのボタンフライも過去には存在していました。
留めるボタンの数を減らしながらも、社会的に見て問題のない状態を保つというミニマリズムを取り入れようとしました。
そこでフライのボタンを2個にすると、留めたり外したりするのが簡単で、前開き部分の厚みも減ることが分かりました。
使用しているボタンは、20世紀初頭のアメリカのジーンズに使われていたものを再現した、無刻印の日本製ボタンです。
フライの下端には股リベットが付いています。
これは、Levi’sではWalter Haasという社長がキャンプファイヤーの前にしゃがんだ際、銅が熱を伝えやすいことを身をもって体験したため、廃止されたと言い伝えられています。
そうした逸話も含めてジーンズの歴史には豊かさがあるのです。
股リベットはポケットのリベットほど重要なものではありません。
それでも前身頃に金属のディテールをひとつ加えることで、ウエスト周辺に集まっているディテールに対するカウンターデザインとなり、服全体のバランスが取れていると考えられます。
フロントポケット

「5ポケットジーンズ」は、標準仕様と言えるでしょう。
視覚的なバランスがとてもよく、実用性の面でも長い時間をかけて進化してきたものだと考えることができます。
ただし5つ目のポケットについては、「進化の行き止まりだったのではないか」とも考えられます。
しかしジーンズは、実用性だけでできているわけではありません。
最初の2つのポケットは、フロントポケット、あるいはサイドポケットと呼ばれています。
構造的に言えば、これはフロントポケットとなります。服を組み立てる前に、前身頃へ取り付けられるからです。
ちなみにテーラードパンツは、通常2本の脚をそれぞれ作り、それらを股の中央で縫い合わせます。
それに対してジーンズは、前身頃と後ろ身頃という大きな2つのパーツを作り、それを内側と外側の脚の縫い目でつなぎ合わせていきます。
また、クラシックなフロントポケットの形は「スクープ」と呼ばれます。
外側の脚の縫い目の上端を中心とした、ほぼ平らな4分の1の円のような形を想像してください。
このカーブには、いくつかの利点があります。
上から手を入れやすいので、馬に乗っているときや、砂漠で岩をよじ登っているときにも、中身がこぼれ落ちにくいのです。
同時に、ポケットが服に沿って平らに収まり、口が大きく開いてしまうことも防いでくれます。
そのようにフロントポケットについて考えているうちに、「新品の状態」と「実際に履き込んだ状態」の違いを考えました。
丸く開いたフロントポケットは、手を入れるときに少し窮屈に感じる。そして時間が経つと、ポケット口の周囲のステッチが切れやすい。
これは、上から手を入れることでポケット自体は引っ張られるのに、開口部がカーブしているため、
そこには伸びるための生地が存在しないからではないかと考えました。
結果として、生地ではなく縫い目に力が集中し、糸が切れてしまうのです。
バイアスとポケット口
生地を斜め方向に引っ張ると、縦方向や横方向に引っ張るよりもはるかによく伸びます。
上下、あるいは左右に引っ張る場合は、経糸と緯糸を引っ張っていることになります。
人工的なストレッチ生地でもない限り、糸そのものはかなり安定しているのです。
ところが生地を斜めに引っ張ると、経糸と緯糸が互いに滑り合い、織り目が変形します。
生地の斜め方向は「バイアス」と呼ばれます。
そして、通常なら生地に対してまっすぐ取る型紙をあえて斜めに配置し、異なる性質を持たせる「バイアス裁ち」は、それ自体がひとつの技術です。
それをもっと単純に考えると、ポケットの口を斜めに裁断すれば、四角や丸い形よりもずっと簡単に伸びるのです。
実際に古いオーバーオールには、まっすぐ斜めに切ったフロントポケットがある物もあります。
ただ、やはり端のステッチが切れてしまっていました。
ポケット口の構造
ウイリアムがテーラリングを学んでいた頃、大学を休学して、コート作りの見習いとして1年間と2回の夏を過ごしたことがあります。
そこで最終的に任せてもらえるようになった仕事のひとつに、ベストの一部を組み立てる作業がありました。
テーラードジャケットとは違い、ベストの前開きは斜めに開いたカットになっています。
これはほとんどの場合、たとえベストにラペルがあるように見えても、それは装飾的なもので、
肩の縫い目に縫い付けられているだけで、構造的な役割は果たしていないことが多いのです。
テーラリングとは、身体の形に合わせて布を整え、その形を保つために必要な「見えない骨格」を作ることと考えています。
ベストの前身頃の場合、斜め、つまりバイアス方向の開口部は伸びて開いてしまう可能性があります。
そのため、前身頃の縫い目の中に「ステイテープ」と呼ばれる補強テープを縫い込むのです。
ステイテープとは、まっすぐ裁断した細い布テープのこと。
ベストの開口部より少し短く裁断し、ミシンで縫うときに引っ張りながら取り付けます。
このステイテープと、開こうとするバイアス方向の前身頃との間に適切なテンションを作ることで、
ベストの前身頃が身体に沿って平らに保たれ、長年着ても伸び広がりにくくなるのです。
Tenderのフロントポケット
そこでTenderでは、フロントポケットの型紙を浅い角度で斜めに裁断することにしました。
履き込んでいくうちにポケット口が伸び、立体的で使いやすい開口部になることを狙って。
ただし、ポケット口の内側にはある程度の硬さを持たせ、糸が切れてポケットそのものがバラバラにならないようにしています。
そのため、斜めになったポケット口の縫い目の内側には、別のまっすぐなデニムのテープを入れているのです。
これはセルビッジに沿って裁断しています。
ポケット袋を持ち上げると、そのセルビッジの線をご覧いただけるでしょう。
ポケット袋

ポケット袋そのものも、服本体と同じデニムで作っているのも特徴です。
これによって、別の布で見返しを作る必要がなくなるのです。
そしてポケットも、服本体と同じくらい長持ちするようになります。
一般的なジーンズでは、ポケット袋はいつも最初に傷み、しかも修理するのが難しい部分です。
ポケットのパネルもセルビッジに沿って裁断しています。
そのため、ポケットを裏返せば内側の底にセルビッジの線が見えるのです。
サイドポケットの形
サイドポケットの袋そのものの形にも意味があります。
フロントのパッチポケットは、座ったときなどに中身が比較的簡単に落ちてしまうという欠点がある。
ポケット袋はこの問題を解決しています。
ジーンズの前身頃からポケット袋を離して作ることで、ポケットの下側が前身頃から離れて、ねじれたり垂れたりできるようになります。
そうすると、ポケットの中身が開いた口の真下ではなく、少しずれた位置に収まるため、落ちにくくなるということです。
ポケット袋の下側後方の角の形によって、どれくらいこの動きが生まれるかが決まります。
底が四角く、そのまま脇の縫い目につながっているポケット袋は、実はパッチポケットとほとんど変わりません。
内側へ凹んだ丸い形なら、コインや小物がポケットの前側へ転がってくるという利点があるのです。
バックポケット

バックポケットにも、当然考察を巡らす部分が多分にあります。
まずはポケットの形。
ポケットの形は象徴的なものにもなり得ます。
たとえばLevi’sのスペード型、Leeのシールド型など。
どちらも角が内側へ向かって斜めになっているため、折り込まれた布が外へ飛び出さず、下側の角がむき出しになって擦り切れることもありません。
ただし、どちらも少し小さくなりがちです。
そこでTenderには、四角形がを採用しました。
ポケットの内側には、薄手のキャリコ素材を使っています。
フロントポケットと違い、バックポケットの裏地は構造的に重要ではありません。
また、服のどこかには生成りの布があるのもいいというのが、ウイリアムの好み。
それは、ジーンズがどんな染料で染められているのかを見るのにも都合がいいからです。
銅製のドームリベット

Tenderのジーンズ全体に使っているリベットは、Wranglerのものに似た銅製のドームリベットを踏襲しています。
これが「椅子を傷つける」という問題に対する、最も説得力のある答えだと認識しています。
昔、子どもたちがジーンズを履いて学校へ来るようになった頃、
教師たちは、バックポケットに付いた尖ったピンとワッシャー式のリベットが学校の椅子を傷つけると苦情を言ったそうです。
Levi’sはこれに対して、隠しリベットという、かなり過剰設計された方法で対応しました。
次にLeeは、バックポケットのリベットをカンヌキ止めに変更しました。
それはとてもきれいな方法ですが、前述した服のデザイン要素を変えてしまうことになります。
また、別のディテールをひとつ増やすことにもなります。
しかしWranglerは代わりに、すべてのポケットの角に丸いキャップ付きのリベットを使ったのです。
バックヨーク

Wranglerからもうひとつ借りているのが、バックヨークの縫い目。
一般的なジーンズのヨークは、縫い目がバックポケットの上にあります。
この縫い目を手で上下になぞると、上へ動かしたときに引っかかるのが分かりますでしょうか。
Wranglerがこの仕様を採用した理由について、ウイリアムはこんな話を聞いたことがあるそうです。
「馬に乗っているとき、バックポケットから財布が上へ滑り出してきても、
ヨークの縫い目に引っかかって、完全には外へ出ないようにするためだったという。」
Tenderでは、そこからさらに一歩進めてバックヨークの縫い目を下げ(深く)、ポケットの上端がその縫い目を覆うようにしました。
これによって、財布が抜け落ちるのを防ぐ効果をさらに高めているのです。
ヨークを下げたもうひとつの理由は、ヒップの中央に必要な立体感を与えるため。
標準的なヨークの位置では、ヒップより上に形を作ってしまいます。
それよりもヒップの中央へ押し出すほうが、ヨークという機能性の理にかなっていると考えています。
バックポケットの縫い方

バックポケットは、ウエストバンドの下まで続く一本の長いステッチで縫い付けています。
これは、昔のミシンへのオマージュです。
昔のミシンには、現在のような返し縫いの機能がありませんでした。
そのため、縫い目の最後を返し縫いで固定する代わりに、別の縫い目に覆われる場所まで生地の端から糸を走らせ、縫い目がほどけないようにするのが一般的でした。
2つのバックポケットは、それぞれ左端から縫い始めています。
そのため、バックポケットとステッチラインの組み合わせが、「66」のように見えるのです。(偶然ですが、リーバイス66のオマージュにも見えます)
5つ目のポケット

5つ目のポケットは、最も使われることが少ないポケット。
それでもジーンズに最も強い個性を与えることができるのも、このポケットです。
Levi’sはこれを「マッチポケット」と呼びました。
それは、荒々しい生活を送る探鉱者の姿を思わせます。
それに対し、Leeは「ウォッチポケット」。
こちらは、もう少し上品な工場の監督者をイメージさせます。
Wranglerは「コインポケット」。
こちらは、あまり裕福ではない牧場労働者を思わせます。
形や呼び名はそれぞれ違いますが、どれもウエストバンドの下、右前ポケットの内側に追加された小さなポケットです。
Tenderの5つ目のポケットは「snob’s thumb pocket(スノッブズ・サム・ポケット)」と名付けられました。
これはウエストバンドとフロントポケットの後ろ側に縫い付けられているので、縫製工程のかなり最後に取り付けられます。
ウエストバンドの後ろ側に配置することで、ベルトをしていても使えます。
さらに少し高い位置にあるので、手を入れやすくなっています。
ウエストバンドより上に少し突き出し、カーブした見返しがあることで、手探りでもポケットの位置を見つけやすくなっています。
このポケットのスタイルは、Tender独自のものではありません。
ただ、ジーンズで使われているのは今まで無かったと思います。
これは、英国の儀礼用衣装を専門に仕立てる宮廷仕立屋から教えてもらったデザイン。
シルクベルベットのニーブリーチズに、このポケットが付いていたそうです。
その衣服には、前身頃のウエストバンドの内側に左右ひとつずつ、袋状のポケットが縫い付けられていました。
丸い見返しが少し上へ突き出している特徴的なポケット。
なぜこれを「スノッブズ・サム・ポケット」と呼ぶのか、詳しい理由は不明。
しかしそこに親指を入れ、胸を張って、シルクのニーブリーチズを履いたクジャクのようにスノッブに振る舞うイメージは湧きます。
また、これはウォッチポケットだったという説もあるそうです。
紳士は時計を2個持っていたというのです。
ひとつは見栄のためでもあり(「double-wristing」と呼ばれるスタイル。昔からあったんですね!)、
もうひとつは、当時の懐中時計があまり正確ではなかったため、2個あれば時間を確実に知ることができたからだという理由から。
スノッブズ・サム・ポケットのリベット

スノッブズ・サム・ポケットのリベットは、内側から外側へ向かって打ち込まれています。
そのため、リベットの平らな裏側がジーンズの外側に見えます。
そこには「UNIVERSAL」の刻印が入っているのがご覧頂けるでしょうか。
これも初期のアメリカ製リベットを再現した日本製のもの。
また、ベルトに当たって傷をつける心配もありません。
丸いドーム型のリベットなので、内側から触っても不快ではないのです。
132という番号

最初のTenderジーンズは、本当に文字通り「手作り」から発展したものでした。
最初のジーンズの背中には、日付とウイリアムが当時住んでいた住所をパッチにして縫い付けました。
その家の番地が132だったのです。
金物店などで販売されていたジーンズには、商品管理のための番号が付けられていました。
最も有名なのは501です。
時計やマッチ箱、初版本のように、収集したくなるもの、強い執着の対象になるものには、何らかの分かりやすいシリアルナンバーが付いていることが多いのです。
そこには偶然ではない何かがある。
そして、もともとは誰のものでもない同じ製品が、所有者との時間を重ねることで、その人だけのものになっていく。
意図的に他のものと同じように作られたジーンズが、持ち主と一緒に時間を過ごすことで、唯一無二のものになっていく。
服はそういうものなのです。
とにかく、最初のスタイルには132という番号を付けました。
その後のジーンズは、通りを歩くように、隣の130番へ、さらに122番から156番まで進んでいったのです。
ジーンズの商品管理と番号
ジーンズを陳列する際、通常は前身頃同士を合わせて畳み、それを膝のラインで半分に折り、さらに股のあたりでもう一度折る。
そうすると、棚に置いたときにほぼ正方形になります。
平らな右バックポケットとウエストバンドが表に見える状態。
非常によく似た商品を素早く見分けられるように、このスペースのどこかにブランド、スタイル番号、サイズなどが表示されることが多のです。
ウエストバンドに付いた革や紙のパッチに、これらすべての情報を記載することもできます。
あるいは、ウエストバンドの下に切り取り式の紙タグを縫い付ける方法もあります。
右バックポケットに紙製の「フラッシャー」を縫い付けたり、ホチキスで留めたりすれば、さらに多くの物語を載せることができます。
右バックポケットの下やヨークの縫い目に色付きのタブを縫い付ける方法もあります。
これは、商品識別とより長く残るブランド表示を兼ねていたのです。
最近の在庫管理では、スーパーマーケットなどのジーンズで、太ももから膝まで伸びる長いサイズシールを見ることがあります。
これも同じ役割を果たしています。
しかも、きれいに畳まなくてもいい。
シールのラインに沿って折り目を作れば、棚に積んだ状態でも端からサイズが確認できるからです。
ケアラベル
服には洗濯表示を付けることが求められているし、小売店もそれを必要としています。
そこでTenderでは、ケアラベルを服の内側に隠すのではなく、外側のブランド表示として使うことにしました。
ウエストボタンを除けば、このラベルだけが外から見えるブランド要素になります。
白いアセテートのラベルに、フォント名「Gill Sans」の黒い文字を印刷しています。
そのラベルに、各商品のType番号を手書きしています。
使っているのはStabiloの細字の油性マーカー。
ほんの少し筆先のような形になっていて、数字にちょっとした個性が出るのです。
タブの裏側には「this tab may be removed(このタブは取り外してもよい)」と書いてある。
しかし装飾的なブランド表示を付けると、人はそれを取り外したくなる。
とはいえワークウェアに意図せず付いているような実用的なラベルなら、人はむしろ残しておきたくなる。
手書きのType番号には、デッドストックの服に付いているタグで、ときどき見かける値札や在庫管理用の数字へのオマージュという意味もあります。
ベルトループ

ベルトループも、本来もっと考えられていいディテールです。
多くのジーンズのベルトループは専用の機械で作られます。
長い布のテープを折り機に通し、表側に2本の直線ステッチ、裏側にジグザグのカバーステッチを入れていきます。
機械によって仕上がりには違いがありますが、Tenderのものはループの中央にしっかりとした盛り上がりができるものです。
中央部分は両端よりも早く色落ちし、それによってある程度の強度も生まれます。
Tenderのベルトループ
ボタンについて説明したときにも話したDIY的な考え方に沿って、6本のベルトループはそれぞれ個別に作られています。
裏側にはキャラコを当てます。
その分、ベルトループ1本あたりの作業量は増えます。
でもその代わり、ベルトループ専用機を用意する必要がないし、標準的なループに妥協する必要もありません。
こうして作られたベルトループには、存在感があるのです。
さらにループの裏側から少しだけ見える生成り、あるいは染めたキャリコ生地が、さりげない個性を加えてくれます。
脚の縫い目

ジーンズのディテールの多くは上部に集中しています。
それでも、下半分にもいくつか考えるべきことがあります。
外側の脚の縫い目は脇割りで縫製されています。
両側にセルビッジのラインが見えるようになります。
一方、内側の脚の縫い目はオーバーロックで処理し、片側へ倒してからステッチを入れています。
ただしTenderでは、バックヨークの縫い目を逆向きにしたのと同じように、通常とは逆の方向に縫い代を倒しています。
一般的には前身頃が後ろ身頃の上に重なる方向ですが、Tenderでは逆にして、外側から見ると後ろ身頃が前身頃の上に重なるようにしているのです。
この方向にすると、股の部分で縫い目が擦り切れるのが遅くなることが分かったのです。
座ったとき、特に自転車に乗っているとき、縫い目の端が身体の自然な動きと同じ方向を向きます。
そのため、折り返された縁が擦れにくくなるのだと思います。
裾

最後に、裾は二つ折りにして、本縫いミシン(ロックステッチミシン)で縫われています。
チェーンステッチの裾については、非常に多くの言説があります。
その中でTenderでは、チェーンステッチを使うことについてはいくつか考えておきたい問題がありました。
まず、チェーンステッチは構造的にロックステッチより弱いこと。
ロックステッチのミシン、たとえば一般的な家庭用ミシンでは、上の糸と下のボビンの糸を使い、一針ごとに糸を上下させて縫います。
チェーンステッチが発達した理由のひとつは、ボビンを交換せずにずっと長く縫えるようにすることでした。
なのでチェーンステッチのミシンには下糸がありません。
上糸だけを使い、生地の裏側で糸自身をループさせていくのです。
そのため、裾の裏側には特徴的な「チェーン」のような見た目が生まれます。
ただし、糸のどこか一箇所が切れると、ほとんど抵抗なく、一本の糸全体がずるずると抜けてしまいます。
シートやヨークの縫製に使っている送り腕ミシンや、ウエストバンド用のミシンもチェーンステッチを使っています。
よって、チェーンステッチを使うことが当たり前と考えられがちですが、Tenderではその「当たり前」を危険と考えています。
そもそもTenderにとって、チェーンステッチがあまり意味のあるものには思えなかったのです。
ロックステッチの裾なら、自宅でも、あるいは近所の仕立屋でも直すことができます。
特別な機械も必要ないし、裾の雰囲気を変えてしまうことを持ち主が心配する必要もありません。
だからこそ、自宅で調整できるようにするための、チェーンステッチを用いないというほんの少し型破りな選択は、
Tenderという服にとてもふさわしいものだと考えています。

(画像は、DIARIES旧店舗でのTENDER Co.のイベント時に来店してくれた、デザイナーのウイリアム)
以上が、TENDER Co.というジーンズが作られて15年が経ち、ウイリアムから発せられた言葉です。
僕が15年前に書いたブログも相当な量でしたが、
それよりももっと多くのストーリーが詰め込まれていました。
改めて、本当に素晴らしいジーンズです。
これがもう作られないなんて、僕にとってはとても悲しいことですが、でも名作ってそういうものですよね。
いつまでも同じように手に入る保証なんてないし、これまでもいつもそうでした。
なので今回、DIARIESでは少しでも在庫を抱えておこうと思い、有り金はたいて在庫を用意させていただきました。
在庫があるのは以下です。

Type130 TaparedのUnborn生地(ノンウォッシュ)、サイズ3(ウエスト31~33インチの方)
Type130 Taparedのリンス生地(ワンウォッシュ)、サイズ2(ウエスト29~31インチの方)
Type130 Taparedのリンス生地(ワンウォッシュ)、サイズ3(ウエスト31~33インチの方)
Type130 TaparedのWoad染、サイズ2(ウエスト29~31インチの方))
Type132 Wide StraightのUnborn生地(ノンウォッシュ)、サイズ3(ウエスト31~33インチの方)
それに加えて、昨年の黒クルミ染もありますし、
先日ご紹介した最後のイギリス製もあります。
残念ながら僕のサイズはなくて、もし在庫があったら今買って10年20年後に下ろしたらいいかなって思ってました。
でも僕の場合、買って穿けてないTENDER Co.のジーンズがまだありますからね!笑

もはや幻と言っていいサスペンダージーンズは、太って穿けなくなっちゃった。

まだ毛羽も残ってるくらい!笑

うっかり細身を買っちゃったWoad染めもあまり穿けておらず、これも後々の楽しみに。

それでもうっすら見える色落ちを肴に酒が飲めます。

最初に買った130のUnborn生地と、

次に買った132のLogwood染は、もはや殿堂入り。
この年にして、棺桶に入れる服が決まりました。

現在、重点的に穿いているのは132ドライバーズポケット。
今になって、お客様にはよく「それ欲しかった」と言われるのですが、気持ちは分かります。
Tenderの服って、肚に落ちるまでに時間がかかるんですよね。
だけど、「肚に落ちるまで理解したい服」ってそんなにありますか?
一見した時は別に・・・と思っても、心のどこかでしこりのように残り続けるのです。
そういう意味では恐ろしい服ですよ。
だけど、イギリス製のTENDER Co.のジーンズはこれで最後。
滅多にこのような言い方はしませんが、ドライバーズポケットのように後悔したくない方は、是非ともこの機会にお買い求め下さい。
それではまた、お店で会いましょう。
また、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
