diaries blog | YUKETEN (ユケテン) | Avanico

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「読書の日」だそうです。

ネットばかり見てないで読書しましょう。

このブログは読書の範疇になるので読んだ方がいいですよ!






突然ですが、イベントのお知らせです。

なんと!?ダイアリーズのくせに2か月連続のイベントです!

しかも!ダイアリーズのくせにまたデザイナーが来てくれます!

なんとイタリアから!!!

このお二人が1ST PAT-RN(ファーストパターン)のデザイナーである

クリスティアーノとシルヴィアさん。

(今回来日するのはクリスティアーノのみです。)

自身のブランドとは別にお仕事があり、その後ファーストパターンの展示会を都内で行い、

その後わざわざ茨城の片田舎まで来てくれてイベントやってくれるってんだから恐縮です!!!



なんでウチの店まで来てくれるかっていうと、そりゃまあプッシュしてるからということなんでしょうが、

クリスティアーノは日本語が分からないにも関わらず、

このブログを通しての商品説明と熱意を評価してくれてるっぽいんですよ。

日本語をイタリア語に翻訳してくれてたりするのかな?嬉しいね。

いつも「お店行きたい!」とは言ってくれてたんですが、まさか本当に来てくれるとは・・・

有言実行のジェントルマン。素敵・・・



情熱が言葉も国も人種も超えた瞬間でございます!

TENDER Co.のイベントもそうだったけどwww



そうか、外国人デザイナーが来てくれてイベントやるのって、

TENDER Co.のウイリアムが来てくれて以来なんですよね。

ということは2年ぶりのインポートブランドのイベントになりました。


その間にお店は移転しちょっとだけ大きくなり、私も経験を重ねました。

なので、今回はイベント自体も進化しております。



以前やったDIGSEUMのヴィンテージランプの回で参加していただいたcayaさんがすごいよかったので、

今回はさらに調子に乗って、なんとLa Stalla(ラ・スタッラ)さんを召喚しました!!!

これはヤバイ!!!!!

イタリアのブランドである「1ST PAT-RN」と、つくばが誇るイタリア料理の名店「La Stalla」が

DIARIESの店内でコラボレーション!!!!!

スタッラは完全予約制のため、なかなか行けない方もいらっしゃるかもしれないので、

この機会に少しでも触れていただけたらと思います!

ちなみにDIARIESだけイタリア色が薄いです!大丈夫か?俺!?!?!?



というわけで、イベントの詳細になります。


日時:2019年11月16日(土) 12:00~18:00

場所:DIARIES(茨城県つくば市吾妻3-8-17-101)

1ST PAT-RNの2020FWシーズンのオーダー会を開催いたします。

全ラインナップをご覧いただくことができ、

お好みのモデル、素材、色の組み合わせで1点からオーダーが可能です。

(※保証金として、オーダー1点につき1万円をお預かりいたします。)

また当日は、La Stallaによるイタリア料理も販売致します。



どうぞお楽しみに!





じゃ、商品紹介です。

ドウゾ!

【ブランド】YUKETEN (ユケテン)

【アイテム】Avanico

【価格】¥71,500-(税込)

【コメント】

今年もあの変態靴が届いております!

あまりに変態すぎてごく一部のマニアックなお客様以外、

全くと言っていいほど興味を示されない存在ではありますが、

個人的にはこれ以上のムッツリ変態靴(=パッと見普通なんだけど、

よく見るとヤバイ奴。褒め言葉。)はなかなかありませんよ!w



ちなみに、結局は当店しかオーダーがなかったようで、YUKETENのカタログからは削除されてしまいました。

ですが、個人的にどうしても欲しかったので、特別に復刻してもらいましたよ。

結果的別注て感じですかね。苦笑



人知れず生まれて消えていく。

やはり当店のセレクトはそんなもんだろうと思ってたのですが、

最近になってようやく「最初は全然興味なかったけど、だ

んだん気になってくる。」と言われるようになってきたんです。

あ~また例の闘いか。売れるまで説明をひたすら続けないといけない、あの出口の見えない闘い。

ま、やりましょう。



まずはブランド紹介からどうぞ。


コンセプトは、伝統的な職人技と未来を見据えたデザイン。

YUKETENは1989年にYuki Matsudaにより設立され、

伝統的な技法と洗練されたデザインを組み合わせ進歩的で冒険的な靴を生み出しています。

それは大胆で前向き、恐れのない姿勢を反映したユニークなデザインが特徴です。

また製法には化学接着剤を使用せず、ベジタブルタンニングレザー、スチールシャンク、ハンドステッチなどを用い、

最高級の構造と耐久性を兼ね備えています。


というブランドでございます。

既にYUKETENというブランドをご存じの方には、えー!意外!?とか、今更???とか思われるかもしれません。

でもまだまだご存じでない方の方が多いんじゃないでしょうか?

ブランド自体は既に設立から30年近くが経とうとしてますが、私もユケテンに初めて触れたのは20年前くらい。

船底のようなクレープソールを身に着けた、なんとも形容しがたい靴が衝撃的でした。

今思えば、昔から変態だったんだよなぁ・・・

それがまさか自分の店に入荷してくるとは、自分でも驚きです。

ではなぜ今になってユケテンが入荷してきたのかと言いますと、

以前からチェックはしていたのですが、一般的なユケテンのイメージは、

diariesの商品で例えるとラッセルモカシン寄りなんです。

なので、ラッセルモカシンもユケテンもというのは、ウチの店の規模では難しい。

でもユケテンも作りは良いし、他にはない面白い靴を作っているので、いつかはやってみたいと思っていました。

すると、ユケテンのモカシンシリーズの中で一際異彩を放つのがこちらのシューズ・avanico。

聞けば、メキシコで1920年代から続くウエスタンブーツの工場で作られているとか。

ユケテンの面白いところはデザインの特異性や幅広さだけではありません。

そのデザインを実現するために、アメリカ・メキシコ・日本を含め、

どの工場で作ればいいのか選択できるという、独自の生産背景を持つところです。


そしてこのavanicoは、もう瞬殺でしたね。シビレました。

完全に俺の好きなヤツ。

そしてメキシコのウエスタンブーツ工場と聞いてピンと来ました。


私が昔買い逃して後悔しているブランドの一つに、サ〇〇〇〇〇ゴという靴ブランドがあったのですが、

恐らくその工場で作っているかもしれません。同じ「匂い」を感じたのです。


そして、買い逃してもう手に入らないと思われていた記憶の中の靴が、今また手に入れることができる。

その興奮と共に、オーダーさせていただきました。


そして半年後、やっと届いたYUKETENのAvanico。

もう話したいことだらけで、何から説明すればいいのでしょう?

とりえあずアッパーからかな。

木型は、1930年代のセミモディファイドラスト。

オールデンのモディファイドラストと同じようなもので、矯正靴の木型です。


ちなみにホントに矯正靴の作りになってて、平らなところに置くと小指が上がってます。

なので、これを履くことで立ち方・歩き方・重心が矯正されるようになるんだとか。

確かに実際履いてみると、背筋が伸びる気がします。

俺なんかは普段からBEDROCKサンダルでランニングしたり、ジムでもVibramの5本指ソックスでトレーニングしてるので、

足裏の重心はマシな方ではないかと思うので特に違和感は感じませんが、

姿勢が悪い人とかこれを履くとどうなのかな?

なので色んな人に履いてほしいです。



そしてアッパーはホールカット!つまり1枚革!

メキシコのフルグレインカウレザーを使用しています。

フルグレインレザーというのは、とにかくいい革ってことです!w

もうちょっと詳しく説明すると、銀付き革。皮そのままの革ってところでしょうか?

なのでキズが無い部分を使用しないといけなかったり、なかなかコスト高な革ってことです。

そんな革をホールカットで使うってんだから、いかに贅沢な靴か分かりますね。



さらにホールカットというのは、1枚の革を吊りこんで作られるのでそれなりに技術が必要ですが、

さらにそんな繊細な工程を、ウエスタンブーツ工場でやっちゃうてのがウケますね!!!



ちなみにブランドの説明からは、このようにいただいてます。

「ユケテン独自のオイルドレザー。油分をたっぷりと入れて鞣しているので、

しっとりとした肌触りで履き込むほどに風合いが増していき、独特な味わいの表情を楽しむことができます。

また90日間の歳月を費やし、100年以上も前から続く製法でなめしています。

アッパーを構築するパーツは、一つ一つ革の丈夫な部分のみを選び抜き、全て手作業で裁断してい ます。

木型にしっかりと合うように考慮して作られたパターンも、一足一足手作業でつりこむことにより、

革に余分な負担をかけず、革の良さが生かされ た作りになっています。

綺麗なフォルムと足に吸い付くようなフィット感を味わうことができます。」



なるほど、非常に丁寧に作られているものだということが分かりますね。


そんな丁寧に作られた革を使っているのですが、

靴を製造している時に、革に傷を付けちゃうあたりがメキシコらしくてウケます!

ま、この辺はご愛敬で許してください!!!w


そしてカッティングという部分ではこちらも気になるデザイン。

一応ウエスタンブーツぽい飾りがピンキングカットでついていますが、

言われないと分からないくらいの大人しめなディテールがGOOD!

実は商品名のAvanicoというのはスペイン語で、日本語にすると「扇」という意味。

なのでこの飾りは扇をイメージしたものなんです!シャレとるの~



そして商品紹介は、ここからが本番です!

この靴のすばらしさは、見た目より裏!裏より中!

恐ろしいことに、この靴は履いている人だけが最もその良さを分かる。

つまり、他の人にはその良さが全然分かってもらえない靴なのでございます!!!!!

ではまず靴裏を見てみましょう。

この半カラス仕上げ。

先ほどサ〇〇〇〇〇ゴの名前を出しましたが、これで思い出したようなものです。

しかし、昔欲しかったサ〇〇〇〇〇ゴよりも数倍良いわ!

まず驚いたのはスペードソールじゃねーか!ってところ。

上の写真を見ると、土踏まずがくびれているのはモディファイドラストらしい部分ですが、

そこからつま先にかけて、トランプのスペードのようにグイーンと広がっているのが分かりますでしょうか?

これがスペードソールと呼ばれるとか、呼ばれないとか、そんな呼び方するのは日本だけとか・・・

まあ面白い意匠なのでスペードソールでいいです。覚えやすいし。



スペードソールに関しては、ブランドからは下記のようにいただいております。

「両サイドのボールジョイント部の突き出たコバ、通称スペードソール。

1930年代にアメリカで人 気を博したスペードシューズというダンスシューズに見られたデザインになります。」

でもね、本当のスペードソールの魅力は、その見た目よりこの部分。

ソールがね、途中からダブルソールになってるんです。

実はスペードソールの革靴をdiariesで取り扱うのは5年ぶりかな?

前にあったのはこちらの靴。

シュナイダーブーツ(またはシュニーダーブーツ)英語表記は確かSchniederboots。

こちらも、土踏まずから後がシングルソールで、前がダブルソールになってます。

なぜこうなっているかというと、グッドイヤー製法の耐久性とマッケイ製法のような柔軟性を兼ね備えるためだとか。

なるほど、ウエスタンブーツもシュナイダーブーツもどちらも乗馬用ということを考えれば、

耐久性と柔軟性を兼ね備えるということは当然と考えられますね?



ちなみにこのスペードソールは、イギリスではドーヴァーソールとも呼ばれるそうで、

エドワードグリーンのドーバーがその仕様だというのが由来だそうですが、

シュナイダーブーツにしろエドワードグリーンにしろ、

そんなスーパー靴ブランドがやってる繊細な意匠を、

メキシコのウエスタンブーツ工場でやっちゃうってんだから、もはや感動ですよ!!!!!



さらにはシュナイダーブーツと同じくヒドゥンチャネル!

でもすごいねーーー!!!

しかも1910 年代のドイツ製の機械を使用し、グッドイヤーウェルト製法で仕上げられているんだとか!


そしてまだまだ靴裏の説明は終わりません!!!

スペードソール、ヒドゥンチャネル、半カラスときて、次は、、、フィドルバック?

厳密にはフィドルバックではないのですが、そう言ってあげたいくらい素晴らしい作り!

こんなのオーダー以外ではなかなか見られませんよ!

さらにここからが真骨頂!

それはこのウエスト部分にある点々のこと。

レモンツリーペグと言います。

と言われても意味不明です。

でも意味はそのまま。レモンの木の杭。

これね、アウトソールをレモンの木を削った杭で止めているんですよ。

ウイリアムレノンのように金属ではなく、なぜ木を使うのかというと、

木なので、履いている内に汗を吸って膨張してソールが締まり丈夫になるんだとか。

すげぇ。自然の摂理を利用した昔ながらの靴作りならではだわ。



ちなみに、先日お客様でガチのウエスタンブーツを履いているお客様がいらっしゃったので、激写させていただきました。

懐かしい~。

こちらはトニーラマではなく?

ルケーシー!!!

えーと、この革なっていったっけ?

それより知りたいのは製法製法!

マジか!?!?!?ここにもありました!レモンツリーペグのネイルダウン!

そして前の方はグッドイヤーウェルト!もう大興奮でございます!

(U野さん、ご協力ありがとうございます!!!)



異常でしょ?もう。

前半分がグッドイヤー製法で、後ろ半分がネイルダウンになってるドレスシューズみたいな?デザインの靴。

もはやどのジャンルに属する靴か分からないのですが、どのジャンルに属するか分からないお店といったら、

diariesもそうだと思うので、間違いなく当店にとっては相性が良い靴だと思います!



またdiariesらしいだけではなく、靴好きにはたまらない問題作でもあると思います。

見方によっては、スペードソールとフィドルバックとネイルダウンが1つの靴に収まってるっていう

素直に感動してもいいし、ふざけんなと怒ってもいい。

ユケテンの靴ってのは昔からそうでした。賛否両論なんです。



その賛否両論の理由は、ブランド説明にもある通り、恐れないデザイン。

同質化が叫ばれ、物が売れないという今だからこそ、眩い輝きを放っていると感じます。



まだまだ紹介は続きますよ!

お次は中!

ヴィンテージのアメリカ靴みたいなアーチサポートがカッコイイんです。

もちろんモディファイドラスト=矯正靴なので、当然必要なディテールなのですが、最近見ないですね~。

また、オールデンのモディファイドラストにはなぜアーチサポートが無いの?と思いませんか?

それはね・・・・・・お買い上げいただいた方には教えちゃいます。www



さらにもっと中を見て!見て!見て!

展示会で断面のサンプルがありました!

ここまでやるのは自信があるからこそですね!

特徴のインソール。

アーチサポート以外の部分は、あえて表面を荒く仕上げています。

なぜかというと、粗くすることで滑りにくくし靴擦れを起こしにくく、

また粗い=革の表面積が多くなるので、より吸湿性に優れるらしいのです。

もちろんフルベジタブルタンニングレザーです。

そしてそのインソールの裏はチャネルド(=溝起こし)。

これによりグッドイヤーに必要なリブを取り付けなくてもよく、

ユケテンのこだわりである「化学接着剤を使用しない(使っても天然のみてこと?)」にもつながるんだと思います。

いや~すごいわ。

中のコルクの厚みもハンパないので、かなり馴染みは良いですよ!

長時間 の歩行にも足元をしっかりとサポートしてくれる、スチールシャンクを内臓しています。

以上です!あ~疲れた。

当然私も履いています。

左が新品で右が俺の。味が出た方が断然カッコイイ。

なるほど、中のレザーがすぐなじみ、最初は違和感あったものの、すぐに歩きやすくなりました。

気になるところとしては、カカトが浮きやすい木型とは思います。

サイズはDワイズのみ。

US8でEワイズの私は、8Hにして正解でした。

そのせいでかかとが浮くのかもしれないけど、馴染めば気にならなくなりました。

ちなみに、これを買ってからALDENのVチップを全く履かなくなりましたね。

こっちの方が断然面白いです!

オールデンだと普通。ユケテンのハズシが最高です。

ちなみに妻はブラックを履いてます。

あえてスーツにっていうのも好きですけどね。

上司や取引先に怒られないよう、どこまで遊べるか楽しむ余裕が必要です。




それではまた。お店で会いましょう。