ダイアリーズの今日は何の日?
今日は「横町(横丁)の日」だそうです。
個人的な横丁は、吉祥寺・ハモニカ横丁ははずせない、新宿・ゴールデン街も当然だが思い出横丁もいい。
そして下北沢は鈴なり・・・と行きたいところだが、わたしは駅前食品市場。
駅前食品市場の中には、アメリカ屋があってね。昔はよく掘ったもんです。
アメ横はもちろん、ハモニカ横丁には「ウエスタン」があるように、
なぜか東京の横丁とアメカジショップは切っても切り離せない関係なんです。
これがアパレル7不思議の1つ。あとの6つは知りません。
じゃ、商品紹介です。
ドウゾ!
【ブランド】1ST PAT-RN(ファーストパターン)
【アイテム】Laboratorio
【価格】¥63,720-(税込)
【コメント】
来ましたね、大物が。イタリアからです。
Fraizzoliやら7CCRやら、最近イタリア物の入荷が多いdiaries。
まあ私にとってはイタリア物の引き出しを小出しにしているだけなので、特別新しいことを始めたつもりではないんですけど。
でもお客様にとっては珍しく映るのでしょうか?
ウチは過去にもFILSON ITALY(フィルソンのイタリア製コレクション)も取り扱っていましたからね。
実は7年前のオープン時から取り扱っていましたが、もう廃盤となってしまいました。
昔からご来店いただいているお客様には、懐かしいお話かもしれませんね。
フィルソンイタリーを知ってるという方も、すでにマニアックな部類になってしまうのでしょうか。
まあそんあ積もる話は置いといて、フィルソンイタリーが抜けてぽっかり空いた穴も、
本日ご紹介するブランドが補って余りある存在であることは、間違いありません!!!
もったいぶっててもしょうがないので、まずはブランド紹介からいきましょう。
1ST PAT-RN(ファーストパターン)は、デザイナー・Cristiano Bertoにより、2011年に立ち上げられました。
ブランド名の由来は、ミリタリー用語として使われた”First Pattern”(=一番最初に作られるプロトタイプ)から来ています。
服作りのコンセプトは、シンプルでFundamental(=基本的、重要)なものであること。
洋服として普遍的な構造・品質・デザインを生み出し、生地や縫製にこだわり1着1着最高の服を作るために、大量生産も行いません。
デザインのインスピレーションは、主に「Civil」「Military」「Utility」などの機能美からきています。
また1ST PAT-RNの服は、糸や生地の生産から、ボタン・レーベル・タグ・加工や仕上げなど、全てがイタリアで行われており、
伝統的でシンプルなデザインと、オーセンティックなイタリアの工芸品とも呼べる物作りが組み合わせたいと考えています。
そして、デザイナー・Cristianoが”We must try to wear them, to understand.”と主張しているように、
1ST PAT-RNの本当の良さは、実際に着てみないと分からないことにあります。
長く大切に着て初めて分かる良さを教えてくれるような服作りが1ST PAT-RNの服です。
そこには、伝統的なイタリアの物作りを後世に継承していきたいという、Cristianoの思いがあふれ出ています。
というブランドです。
まあdiariesらしいかな。
当店のお客様に分かりやすく例えるなら、また誤解を承知で言うのならば「イタリアのTENDER」といったところでしょうか。
いや、それはこのファーストパターンに大変失礼ではあります。本当に申し訳ない。
しかし言い得て妙で、実はこの2つのブランドには共通点もあるんです。
どちらのブランドも、そんなに型数がありません。
ざっくり言うと、トップスが5型にボトムス5型程度。
そしてそれぞれのアイテムごとに2,3種類の素材を載せ替えることができる。
さらにです、例えばテンダーのウイリアムなんかは、デザイナーよりもセントマーチンの講師業としての立場が強いのですが、
ファーストパターンのクリスティアーノも、このブランドよりもイタリアのデザイナーを相手に、
コンサルやコーディネートを行う仕事を生業としています。
つまり、どちらのブランドも本当に好きな物しか作らず、また素材に徹底的にこだわります。
そして彼らは、当たり前のように自国生産にこだわります。
「俺の生まれ育った国は、こんなに素晴らしい物が作れるんだぞ。」という声が聞こえてくるようです。
そうなんです。ブランド説明に最後にも書いてありますが、
思いを込めて服を作るとね、溢れ出て来ちゃうんですよ。何かが・・・
それでは、詳しく見ていきましょう。
こちらはLaboratorio=研究室と名付けられたショールカラージャケット。
ファーストパターンでは、ブランド創設当時はOfficer Jacketという名前でリリースされ、年々進化を遂げ現在のスタイルに至る定番アイテム。
特徴としては、フレンチフィールドジャケットに使われていたショールカラーと、
(この第一ボタンと第二ボタンの配置が絶妙!)
ジャーマンワークジャケットの独特なポケットの配置と、
(胸ポケットの位置が・・・www)
イタリアンショップコートのバックベルトをミックスしたところにあります。
(バックベルトまたはピンチバックとも呼ばれているディテール。個人的に大好きなディテールです!でもあまり無い!
アクションプリーツと組み合わさればもう最強なんですけどね!俺だったらそれだけで買います!!!)
裏も非常に興味深いですね。
ジーンズではよくありますが、ジャケットのサイドシーム(横の縫い目)にセルヴィッジ(ミミ)を使うのはあまり見ません。
これはなんとEast European Military Workwearから採用したディテールだとか。
でもちょっと待って!
このディテールは良いとして、サンプルとなったイースト・ヨーロピアン・ミリタリー・ワークウェア???
いったいどこの国の?ミリタリーなの?ワークなの?と、謎が謎を呼ぶディテールでございます!!!!!
まーカッコイイからいいでしょーーーーー!
そして気になる着心地の方は、、、
さすがイタリア!サルトリアの国!そしてデザイナーのコンサルをしてるだけに、
ワークウェアのくせしてテーラリングの技術を取り入れ、見た目のフィット感の割に、ものすごく動きやすいです!
(さすがイタリアとか言ってるけど、イギリスでもさすがって言うくせにね。サヴィルロウだってあるんだし。笑)
とくに腕の上げ下げかなあ、、、
この三角のガセットが素晴らしい役目を果たしています。
ちなみにこちらも、ジャーマンワークウェアのディテールをアレンジしたものだとか。
また材料も素晴らしいですね。
生地の説明の前に、ボタンから。
テーラードの洋服に使う本水牛ボタンです。もちろんイタリア製。
で、次は生地ですね。
この生地がまた素晴らしい。
ご覧の通りの藍染めなのですが、まずイタリアの藍染めなんて聞いたことありません!
いやあるのかもしれないけど、私の琴線に触れる物がなかったので(何を偉そうに)スルーしてたかも?
そんなわけで、とにかく、個人的には今まで見たイタリアもののインディゴ製品の中では一番カッコいいと断言できます!!!
そしてこの生地がまた、想像を絶する代物でした。
まずはざっとウンチクを垂れ流します。
イタリア製で、60年代のPicanol Loomsを使って丁寧にゆっくりと織られた生地。
古いPicanol Loomsは希少で、Cristianoが一緒に働いているミルでは3台しかないそうです。
Warp (横糸)は『Baby Indigo』と呼んでいる彩度の低いヤーンが使われ、Weft (縦糸)にはダークインディゴのヤーンが使われています。
ダークインディゴの縦糸の方は、特殊な染め方で、横糸に比べるとあまり色落ちしないようになっています。
これらの特殊なヤーンを使うことによって、Cristianoが望んだ『Italian Workers Color』と彼が読んでいる鮮やかなブルーが実現しました。
出荷の際には、Raw(生)の状態で、Non-washed(ノンウォッシュ) / Non-treated(ノントリートメント)のままですので、
洗い方や着方によって、Fade (退色)、Strike(直線的な色落ち)、Crack(ひびのような不規則な色落ち)が起こります。
着る人の生活習慣や着た回数、着た場所など、様々なシーンでそれぞれ異なる表情にかわっていくのが楽しめますので、自分だけの一着を育てることができます。
という情報をデザイナーさんからいただきました。
そして次は百聞は一見に如かず。
まず自分のを洗ってみましたよ。
前立てにそって、ばっちりStrikeが出ています!
また別なジャケットは、
こちらはCrackですかね。
で、まだ私も1回しか洗ってないので(にしては色が結構落ちたけど)、デザイナーさんの私物を見せてもらいました。
見事なFade。ヴィンテージも真っ青(文字通り!)の色落ちでございます!
そしてもう1点気になったのが、生地の織り。
デニムではないのがお分かりいただけますでしょうか?
こちらは「ブロークンツイル」という織りになっています。
デニムもツイルの1種ですが、綾目(ナナメの線)が出るのが特徴ですね。
しかし、このようなRAW(生)の生地だと、洗濯した後にねじれがでます。
おそらく、ブロークンツイルを採用したのは、ねじれを防止するためかと。
ねじれてしまっては、秀逸なパターンメイキングが台無しですからね。
ざっくり言うと、ブロークンツイルてのは何をブロークン(壊す)しているのかというと、その綾目。
綾目が左右双方向から入っています。ヘリンボーンをもっと細かくした感じ?
なので、一方向にねじれが出るわけではありません。
以上となります。
個人的にはね、ずーっと待ってたんです。このような「ドレスワーク」のブランド。
テンダーもそうでしたが、このファーストパターンも10年に一度の衝撃と言えます。
じゃあ10年前はなんだったか。
私にとってはコレでした。
こちらは13,4年前に買った、SEIJI KUROKI(セイジクロキ)のリネンジャケット。
セイジクロキといえば、ものすごい高さの台襟を配したデュエボットーニでしょう。
日本人がやってるフランスのブランドでありながら、どこかイタリアぽさも感じるブランドでした。
気が付けば、手元に残っているセイジクロキのアイテムはこれだけ。
しかし、ずっと手放せないでいたのは事実。
やっとこのジャケットを休ませることができそうです。
Materiaux by Seiji Kuroki Paris(マテリオバイセイジクロキパリ)
古巣・ベイ○ルーズが展開してた伝説のショップ・マテリオ。早すぎたのかもしれないです。。。
ファーストパターンの衝撃は、まだまだ続きますよ!
それではまた。お店で会いましょう。