平野刷毛製作所 (ブラシの平野)の洋服ブラシ

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「風邪の日」だそうです。

セールも無事終了し、なんとか買い付けに行けそうです。

いつも当店を応援してくださるお客様、本当にありがとうございます。

毎年行けるかどうかギリギリのところですが、なんだかんだで5年目になりました。

まあ年に1回の買い付けなので、毎回初めてのように緊張しますがね。

そんなヘッポコセレクトショップのヘッポコバイヤーが、海外で似非ヴィンテージバイヤーとして珍道中を繰り広げてまいります。

 

昨年くらいまでは、下手は下手なりになんとか珍しいヴィンテージを買い付けてこようと考えてましたが、

今年からはもうヴィンテージ目当てというのはやめとこうと思ってます。疲れちゃって。

いや、疲れるのが第一の理由ではないのですが、ウチの店では所謂スペシャルヴィンテージが売れなくて!!!

まあそれも自分のせいですけどね。ちゃんと価値が伝えられてないから。または高過ぎるからだと思うんですけど。

またスペシャルヴィンテージを仕入れてくるというのは、俺の承認欲求を満たす意味もありますからね!www

俺ってすげーヴィンテージも仕入れられるんだぜ~って。その辺がヘッポコなんですけど!!!

先日も書いたように、お客様から預かったお金ということを考えれば、それを私の陳腐な自己満足に使うわけにはいきません。

 

でもこれだけだとネガティブな意味で買い付けのクオリティを落とすように捉えられてしまいますが、

もちろんポジティブな理由もございます。

それは、そろそろ自分らしさを出さないとってところです。

昨年、ケミカルプロテクティブのジップアップシャツのような、

ヴィンテージ価値もないし殆ど見かけない誰にも知られてない、でも面白い服が世の中にはまだまだあって、

それをウチのお店とお客様だけでひっそりと楽しむといった、服を媒介とした共感接点で俺もお客様も楽しんだ方が、

洋服はもっと楽しくなると思ったわけであります。

古いから、少ないから、といった価値よりも、「俺はここが良いと思うよ!」という視点をもっと出していかないと。

 

と、また長々と書いてしまいましたが、とにかく頑張ってきます!ってことです!

 

それでは、休暇前に商品紹介です。

ドウゾ!

【ブランド】平野刷毛製作所
【アイテム】洋服ブラシ
【価格】羽子板型・¥17,280-(税込)
    水雷型・¥24,840-(税込)
【コメント】

 

これを仕入れようと思ったきっかけは、常連さんの「ニットの手入れは?」という相談から。

当店でもそれなりに質の高いニットウェアを扱っています。

ですのでそのような相談を受けるのは、よく考えれば当然のことなんですが、

恥ずかしながら、このブラシに出会うまでは毛玉は刈り取るものだと思っていました。

しかしその考えは、また別の常連さんの情報により、あっさりと変わりました。

ただ私が勉強不足なだけだったんですね。

そのお客様もニットの毛玉に困ってました。

ある日西武百貨店に行ってみると、とある実演販売を行う催事をやっていたそう。

その中で「洋服ブラシ」にふと目が止まりました。

色んなジャンルの専門知識を持った人が集まっているんでしょう。

早速毛玉のことを相談したみたい。

すると、そのメーカーのブラシでサッサッサッと生地を払うと、

みるみる内に毛玉が消えて無くなってしまったんだそうです。

それも決して、取れてしまったわけでもなく、もちろん毛玉を無理やりちぎったわけでもない。

絡みついた繊維があっと言う間にほどけて、元の生地に馴染んでるんだそう!

そのお客様に聞いたブランド名が「ブラシの平野」。今回入荷したブラシと言うわけ。

 

前置きが長くなりましたが、次はブランド説明です。

――――――――――

元々は「平野刷毛製作所」というペンキ用の刷毛メーカーから始まりました。

創業は昭和17年という老舗中の老舗!60年以上も続いてる職人集団です。

化学繊維を使った大量生産のブラシが出回る中、頑固に天然素材を使った職人によるブラシ作りを貫いています。

――――――――――

というメーカーさんなのですが、実はとある事情により積極的な店舗販売は行っておりません。

その「とある事情」はここでは公表できませんが、(店頭で聞いてください。)

ブラシの使い方やニットのメンテナンスに関する説明を、

職人さん自らがお客様1人1人丁寧に伝えながら売っていくという手法でしか販売をしておらず、

そのためデパートでの催事などでしか見ることはできません。

これではなかなか一般の方には広まりにくいというもの。

こんな良い物があるのであれば、是非diariesのお客様にも広めたいと思い、仕入れることを決めました。

ですが値段を見て驚いた方もいらっしゃるかと思います。

普通の洋服ブラシとはゼロが一個多いんじゃないでしょうか?俺も始めはそう思いました。

しかし、当時取り扱っていたジョンスメドレーなどのハイクオリティなウール製品を、

当店のような小さな店で安心して買っていただく為には必要不可欠なアイテムだと思いました。

ちなみにこちらのブラシは、某ブランド「G」や「LV」や「MJ」などの各店舗のバックヤードにも設置されているそうです。

また実際使ってみて、そして平野刷毛製作所を訪れ、その効果を知って見ると、決して高い物ではないと感じました。

ちなみにその「効果」とは?

 

・セーターやマフラーなどのウール製品が、買った時のような表情を取り戻す!

毛玉ができないセーターなんてありません。(ジョンスメドレー以外では)

毛玉とウールは切っても切れない関係。(毛玉は切ったら切れるけど、そのうち着れなくなりますよ。)

ですが、ブラッシングを習慣として身につければ、大事なお気に入りのニットも毛玉ができず、

ずっと長く愛用することができるんです!

 

・ある程度の毛玉なら、ほぐして生地に馴染ませることができる!(副産物)

「副産物」と書いたのは、「毛玉を無くす」ことが目的ではないため。

「毛玉がなくなる」という言葉があまりにキャッチーなため、

どうしてもその機能に目が行ってしまいますが、毛玉はあくまでも「予防」するに過ぎません。

歯ブラシと虫歯に例えると分かり易いです。

毛玉=虫歯。虫歯は歯磨きでは治りませんよね。

毛玉がほぐれてしまうのは、このブラシがあまりにハイクオリティすぎるからなんです!!!

例えば歯を削るように毛玉を取り除けば、そのぶん生地も薄くなってしまいます。

(安いクリーニング屋さんだと、勝手に毛玉を取ってキレイに見せるという恐ろしいこともございます。

なので、私は基本的にクリーニング屋さんには出さずランドレスのウール用洗剤で水洗い。

天然素材であるウールが水に弱いわけないと思ってますから!)

またドライクリーニングのような溶剤を使ったクリーニングは、見た目はキレイになりますが、

元々ウールに含まれている脂といった大事な成分も落としてしまいます。

これは常々自分も気になっていたところなんですが、クリーニングに出すとスカスカになって返ってくることもあるんです。

 

他にも素材によっては、毛玉がものすごいできやすい生地ってありますよね。

あれってやはりアクリルなどが入っているウール製品に多いんだそうです。

理由は、繊維が丈夫だから。

天然ウールは毛玉になれば、自然にちぎれて落ちるんだそうです。

でも、化学繊維は丈夫なので毛玉になっても生地に留まり続けてしまう。

なので、天然でも化学繊維でも毛玉は同じくらいできるんですが、

取れないで残ってしまうから、結果として毛玉が目立つようになってしまうんですね。

それを考えると、ウール100%の製品よりも、アクリルが入ったセーターの方がブラッシングが必要だなと思いました。

そんな洋服ブラシですが、実は6年前に弊店で取扱いを始める時も、最初は断られそうになりました。

しかし実際に工場に足を運んで、洋服を売るだけでなくその後のケアに関しても大事にしていきたいという想いを伝えたところ、

卸して頂けるようになりました。

でもそのお蔭で色々お話を伺うことできましたし、想像以上に良い物だということが分かり、

私も自信を持ってオススメすることができるようになりました。

しかも、「売る」という行為をさらに高い次元まで押し上げてくれました。

どういうことかというと、この「ブラシを売る」という行為は、つまり「ブラッシングという文化を広める」ことなんです。

 

まずdiariesは革靴に力を入れてラインナップを作りました。

そして当然シューケア用品を用意するようになります。

良い革靴を手入れして大事に長く履く。これは立派な文化と言えるでしょう。

そして今度は、洋服もどんどんクオリティの高い物が入荷してくるようになりました。

それはどれも質実剛健なものばかりで、長く着ることができます。

しかし革靴にはシューケア用品があるのに、服はどうしたらいいのでしょう?

そこでお客様から、すごい洋服ブラシがあるというのを教えてもらいました。

さらにはランドレスという洗剤まで扱うようになりました。

実はdiariesが創業以来、ずっと掲げている経営理念があります。

(私がリク○ート時代にお会いした経営者の方々から見よう見まねで作ったものなのですが。)

それは「diariesらしい文化を作る」ということ。

最初はただの言葉だけでしたが、長い年月を経てようやくその土台が作られてきたように思います。(それでもまだ土台だけですけど・・・)

良質な物を大事に長く着る。

今まで私は服好きであるにも関わらず、自分が買った服達に大変可哀想なことをしてきました。

しかしdiariesが掲げるような文化が広まれば、そういった服も減らしていけるんじゃないでしょうか。

服が好きだからこそ、お気に入りの服をずっと着ていたい。

また同時に、日本の職人さんが持つ素晴らしい技術も守ることができるのではないかと思っています。

ご賛同いただけると幸いです。

 

 

 

それではまた。お店で会いましょう。