※8/7(木)・8/14(木)・8/20(水)・8/21(木)・8/24(日)・8/27(水)・8/28(木)は、休店日とさせていただきます。
※夜は閑散としてるので、当面の間18:30閉店です。(割と19時まではいます。お電話いただければ待ちます!)
※今後のイベント日程は以下。
12月上旬にアンティークウォッチフェアを開催致します。

LOUNGE ACT ORDER FAIR
期間:2025/8/9(土)-8/14(日)
時間:12:00-18:30
場所:DIARIES
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LOUNGE ACTのオーダー会を開催致します。
2021年の春に取り扱いを開始して以来、その圧倒的な技術と素材選びで、DIARIESでも着実にファンを増やし続けているLOUNGE
ACT。
オーダー会では、お好きな型と生地の組み合わせで、さらに着丈と袖丈を指定し、自分だけの1着が作れます。
さらに今回は、DIARIES別注ジャケットが登場!
とあるヴィンテージを元に、LOUNGE ACTでパターンメイキングからお願いしたモデルになります。
正真正銘、DIARIESでしか買えない商品ですが、こちらもお好きな生地でオーダーが可能です。
納品は、シャツ→1月、パンツ→2月、ジャケット→4月、コート→6月となります。
是非ともこの機会に袖を通していただき、テーラーの深淵を体感してください。
ダイアリーズの今日は何の日?
今日は「ハムの日」だそうです。
LOUNGE ACTのオーダー会が近づいてまいりましたので、本日はそれに関して諸々ご説明して参りたいと思います。
年に2回と決めていたオーダー会ですが、気が付けば前回(昨年11月開催)のオーダー会から8カ月が経っていました。
なぜかというと、3つの理由でタイミングを見計らってたから。
1つ目は、オーダー会が多すぎないかな~?と思いまして。
例えば年始からOLD TOWNでしょ、翌月には1ST PAT-RNでしょ、そしてLOUNGE ACTと来て、それが各年2回=6回となると、
2カ月に1回イベントがあるのか~これでいいのかな~?と迷ってきちゃいまして。
でも何人かのお客様に聞いてみると、「イベントは楽しい。買うか買わないかは別として。笑」という答えでした。
確かにそうですよね!
でもあまりやりすぎるとDIARIESとしてのセレクトがブレちゃいそうだし、何より私の体力的問題が・・・
というわけで、そもそもどのブランドもなかなか手に取ることはできないものなので、
オーダー会はこの3つのブランドに絞って、継続的に各2回づつやっていこうと思います。
2つ目の理由は、LOUNGE ACTの納期問題。
現在、平均すると納期が7カ月くらいとなっております。
シャツとパンツは比較的早いけど、やっぱりジャケット・コートは半年以上かかります。
こればかりはしょうがないですね。LOUNGE ACTのデザイナー本人がミシンを踏んで縫製しているので。
しかもクロージング仕込みの仕立てで行われているので、手間がかかってしょうがないんです。
それもあって、LOUNGE ACTのオーダー会は年に1回にしようとおもったんですよ。
その話をしたら、デザイナーさんから意外な返答がありました。
「できれば年に2回開催してほしい」と。
その理由がまた面白かったんです。
それは「DIARIESのお客様から届くオーダーは、意外性があって楽しく、モチベーションが上がる。」というもの。
なるほど!さすがですね!DIARIESの邪道ぶりをご理解くださるのも頷けます!
そんなこと言われたら、もうやるしかないですね!!!
そして3つ目。
10年くらい温めてたアイデアを元にしたDIARIES別注アイテムを、ついに具現化することができました。
それにちょっと時間を取られてしまったのですが、ようやく納得のいくものが出来上がったので、遅ればせながらの開催となりました。
と、少々言い訳がましくなってしまいましたが、気になるのは3つ目の理由ですよね?
今回LOUNGE ACTさんに依頼して、とあるヴィンテージを元にパターンから起こしてもらってジャケットを製作してもらったんです。
とあるヴィンテージとは何かといいますと?

ナッパ服!知る人ぞ知るってところですね!
10年くらいまえはいつでも買えたのですが、ここ数年で見つかっちゃったみたいで価格も高騰しちゃってます。
いうなれば「スタンドカラーラグランスリーブカバーオール」といったところですが、これが何かといいますと?

なんとJR以前に鉄道を運営していた組織、日本国有鉄道=国鉄の作業着なんです!
ベースとなったのは昭和46年のもの。1971年ですね。
生地メーカーと縫製工場の名前まで記載されているなんて親切ですよね~。さすが日本。
またこの頃までは、このような赤い刺繍タグがついているのですが、昭和50年代=70年代後半になってくるとプリントのタグに変わっていきます。
おそらくコストの問題でしょうか。プリントの方が安いだろうし。
刺繍タグからプリントに変わっていくのは、古着を比較してもアメリカもヨーロッパも同じですね。
ちなみに国鉄時代の青い作業着は、通称ナッパ服と呼ばれています。
詳しい理由は不明ですが、戦前の作業着は菜っ葉のような色だったからだそう。
昔はカーキ色だったからかもしれません。
そんなナッパ服を手に入れたのは十数年前。
唯一無二のデザインにヤラレてしまい、いつかこれを元に何か作りたいとずっと思ってました。
当然その頃なので、最初に思いつくのはTENDER Co.ですね。
で、ちょうどウイリアムがDIARIESに着てイベントをやるタイミングだったので、このジャケットとセットアップのパンツをプレゼントしたんですよ。
あわよくばナッパ服インスピレーションで、何か作ってくれないかなと思って。
でもダメでしたね~。TENDER Co.は基本的にイギリスの鉄道物限定ですからね。
日本の鉄道物は採用してもらえなかったっぽい。笑
それからどうしようかと思いあぐねて早や10年。
LOUNGE ACTのオーダー会中に降りてきました。
ナッパ服の特徴であるスタンドカラーとラグランスリーブを、LOUNGE ACTのパターンを用い、日本のロイヤルな技術で作ったらどうなるか?
そうして出来上がったのが、こちらのジャケットになります。

題して、JNR (Japan National Railways) Nappa Jacket
基本のデザインは、オリジナルに忠実に。

はやりこの丸いウォッチポケットは外せません。
いかにも懐中時計を思わせる大きさ。
また時計という道具は、厳しい日本の運行管理の象徴するものでもあると思うのです。
ほら、日本の電車の到着発射時刻って世界一っていうじゃないですか?
それを陰ながら支えたポケットだと思うと、すごくない?
そうそう、まさにJRにお勤めのお客様に教えていただいたのですが、こんな動画がありました。
なんと常磐線にSLが疾走る動画!しかもカラーで!ものすごく貴重!!!
内容は、水戸発取手までに5分の遅れをどう取り戻すかというドキュメンタリー。
電気ではなく蒸気の力で5分を詰めるって、段違いの難易度ですよね?
ここに出てくる昭和の男達がメチャクチャカッコいいんです!一服するシーンとかね!
ついでに母の実家、つまりおばあちゃん家が0.3秒くらい映ってる(気がする)!
このように日本の高度成長期を支えてきた服に、微力ながらファッションという観点から光を当てることができることに、僕は興奮を禁じえません!!!
ちょっと話が逸れちゃいましたね。

このスタンドカラーも妙に先が尖ってて独特ですよね。
おそらくこれも機能的な理由があります。
まずは首に沿って立ち上がるスタンドカラー、これは先ほどのYouTube動画をご覧いただくと分かる通り、燃料である石炭を投炭するのは人力。
その際「火室」という部分の扉を開けると、列車は走っているので煤や火の粉が舞います。
なので少しでも体をカバーし、また服の中に煤や火の粉が入ってこないようにするためだと思います。
スタンドカラーは、おそらく軍服から続く詰襟の学生服を想像すると分かる通り、制服らしいディテールでもあります。
が、襟の剣先が尖っているのは、詰襟のように固定してしまうと、運行作業時に動きにくいからとも考えられます。
ハードワークに対応できるスタンドカラー、これはちょっと他にはなさそうですね!
次はラグランスリーブの部分。

ラグランスリーブというのも、これはまさにワークウェア的ディテールですね。
蒸気機関車の狭い運転室の中で、様々な作業をしないといけないので。
そしてまたこのラグランスリーブも変な構造だったのですが、ここはオリジナリティを持たせています。
ざっくり言うと、オリジナルは独特な構造の2枚袖(生地を2枚使った袖)なのに対し、
別注の方は、LOUNGE ACTの1枚袖ステンカラーコートのパターンを、ジャケット用に流用しています。
この1枚袖ラグランと聞くと、少しまえのビッグサイズシルエットに乗っかって、
またヴィンテージバーバリーのコートのレア度も加わり、1枚袖ブームがあったと思います。
ですが、LOUNGE ACTの1枚袖ラグランは、構造が全く違います。
LOUNGE ACTの1枚袖ラグランは、約100年前の裁断書に書かれていたものをベースに作り上げたもの。
どう違うかと言うと、「鎌底が必要以上に深くなく、袖が太くならないのが特長」なんです。
この辺りは文章で説明するのは難しいので、店頭でご説明いたします。
いやでもこのラグラン見た時、ホントに感動したんですよね!
どのブランドもゆったり目のシルエットを作っている中で、このシルエットで1枚袖!?しかもすごい動きやすい!!!と。
そんな1枚袖ラグランを、あろうことかジャケットに用いてしまうってのは、
実は以前買い付けたイギリスのヴィンテージのハリントンジャケットをイメージしてたりします。
さらにこのナッパ服は、袖口がギャザーというのも面白過ぎるんです!!!!!

これもですね、理由は「袖口を狭くするため」です。
同じく煤や火の粉が入らないように、または手袋をしやすいようにといったところでしょう。
この1960~70年代のワークウェアでギャザー寄せるなんて、ちょっとありえないですよね。
またこれを再現するにあたり、いつも別注シャツでギャザーを寄せてもらっているLOUNGE ACTさんにお願いすれば間違いない!と思ったんです。
でもね~、この袖口がホント狭くて。
さすがに現代の生活だと狭すぎる=時計つけたりバングル付けたりしたいので、ちょっとだけ広げました。
でも広げすぎると、今度はせっかくのシルエットと、ギャザーと生地の組み合わせがもたらすドレープ感が損なわれてしまうので、
5㎜単位で迷って決めた寸法になります。
こうやってみると、寸法を決めるって大変です。
絶対デザイナーなんて俺にはできないと思った。
作ってくれる人には、リスペクトしかありません。
これらの複雑なデザインを、1着1着、デザイナー自らがミシンを踏んで縫製してくれます。

というわけで、これを作るのに時間がかかってしまい、8月お盆期間という妙な時期のオーダー会となってしまいました。
最後に、DIARIES別注商品ではございますが、他のLOUNGE ACTの商品同様あくまでもサンプルになるので、
リネンやウールやコーデュロイなど、他の素材でオーダーすることが可能です。
ここでも、他の生地に乗せ換えても問題の無い構造でパターンを引いてもらってるという工夫があります。
もちろんガシガシ洗濯もしたいですからね!
また、基本的にこのジャケットは、LOUNGE ACTのオーダー会でしか手に入れることができません。
ですが今回だけではなく、LOUNGE ACTのオーダー会の際には随時登場致しますので、ご安心ください。
DIARIES別注のナッパ服。
是非とも多くの方にご覧いただけると嬉しいです。
そしてみんなで叫びましょう!亜無亜危異(アナーキー)!
それではまた、お店で会いましょう。
