diaries blog | ELGIN(エルジン)| A-11 (from 1944)

※夜の自粛中につき、当面の間18:30閉店です。(割と19時まではいます。)

※つくばロックフェスチケット発売中です!(5日券・通し券は完売!)






ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「バイオリンの日」だそうです。

連日の時計紹介ですが、お客様からの熱い期待をいただいております!

まあ、そんなすぐに売れるわけでもないので、とりあえず今ある在庫4つの紹介が終わるまで、

のんびりと見ていてください。(そりゃ早く売れて欲しいけど!!!)




というわけで先日(ロレックスのオイスターを紹介した時)は、

アンティークウォッチを販売する理由(オーバーホールや保証などのバックアップ態勢)について説明しましたが、

本日は、アンティークウォッチを扱う心構えに関して書きたいと思います。

(つまり、前回のブログでは書き足りなかったということです。)



それではお付き合いください。「僕とアンティークウォッチ」www



かく言う私も、アンティークウォッチをたくさん買ってきたかというと、そうではありません。

むしろ憧れながらも、なかなか購入に踏み出せないでいる一人。

ちなみに今まで付けた機械式時計(クォーツではない)は2つだけ。

1つは祖父の形見のRADO(多分60~70年代くらい)。

もう一つは20代の時にリボ払いで買ったROLEXのGMTマスター(確かRef.16700)。

手にした当時は、「一生手放さないだろう」と思っていました。

もちろんRADOは手放してない(しまいこんだまま・・・)けど、

ROLEXは32歳(独立した年)の時に手放してしまったんです。



理由は自身が起こした事業の資金難のため。

事業とはもちろん、DIARIESのことです。



支払いが滞る=取引先に迷惑がかかるので、なりふり構ってはいられないのですが、

質屋に出すには忍びなく、また月末の支払いのために即金で必要だったことから、

信頼のおける友人に10万で譲ったんですよ。

いつかお店が成功したら、買い戻せるかもしれないという期待を込めて。

あれから10年が経ったんだけど、一応10万ならいつでも買い戻せるようにはなりました。

でも巷ではROLEXの価値があまりに高騰してしまい、

とてもじゃないが10万で買い戻せるような状況ではなくなってしまった。

もし買い戻せたとしても、それでは友人を自分の都合でいいように使ってしまったことになります。

さすがに人間失格ですね。




じゃあ今の俺が時計を買うなら?

未練がましくまたGMTマスターを買うか。

いやさすがにそれは・・・

当時の値段を知ってると、今はいささか高すぎる。てか買えない!w

それに20代でロレックスなんて、今にして思えばイキってて恥ずかしかったかな。

今ならロレックスにも耐えられる大人になったかと思うけど、

服に合わせた時に目立ってしまう時計より、調和する時計の方がDIARIESらしいよ。

なんて考えるとアンティークウォッチにたどり着くんです。

また、今の時計に比べると「未完成な部分が多い」。

つまり余白のあるアイテムの方が、自分がセレクトする服に合うのではないか、と思うんです。

DIARIESの服って隙だらけでしょ!?www

隙どころか間抜けだよマ・ヌ・ケ!

そんなマヌケな僕とマヌケな服に合うマヌケな時計(失礼!w)



完璧な機能や美の追求ではなく、ピースが1つ足りないもどかしさを感じつつ、

どこかそれが愛くるしいものに思えてしまう。

そんな時計をセレクトしてまいりたいと思います。




じゃ、商品紹介です。

ドウゾ!

【ブランド】ELGIN(エルジン)

【アイテム】A-11

【価格】¥173,800-(税込)

【コメント】

ロレックス、チュードル(あ、チューダーだったw)と来たら、やはりIWC?

と思ったのですが、実は最初に仕入れてIWCは完売!!!

さすがにそれ以上は大御所ばかり仕入れできないし、そんな有名どころばかりでは俺がつまらない。

それじゃマヌケにならない!!!

そしてドレスウォッチだけでなく、カジュアルなウォッチもないとなってことで、

となるとやはり「ミリタリーウォッチ」は欠かせませんね!!!!!




アンティークのミリタリーウォッチといえば、

ダーティーダースを初めとしたイギリス軍が思い浮かびますが、今回はアメリカ軍です。

こんなシンプルな見た目ですが、れっきとしたパイロットウォッチ。

なんと1944年の物です。

ケースの裏蓋にはA.F.U.S. ARMYと書かれていますが、

USエアフォースが誕生したのが1947年のことで、当時は「陸軍航空隊」だったんですね。

ケースも30㎜(リューズ抜き)という小ぶりなサイズで、男女問わずお使いいただけます。

というか、女性が付けるミリタリーウォッチてのは昔から好きです。

また小ぶりながら質実剛健というのも魅力。

なにせメーカーはあの「ELGIN(エルジン)」ですからね!!!!!

裏蓋に書かれているのは、上からA.F.U.S. ARMY=陸軍航空隊。

TYPE A-11がモデル名。

SPEC.NO.94 -27834-Bがミルスペック。

SER.NO. AF44-35391がシリアルナンバー。

MFPS PART NO.2114が製造業者部品番号。

OPD.NO. W30-053ac-1321が軍契約番号。

そしてELGINと書かれています!!!!!



ELGINは、南北戦争中である1864年、シカゴ市長のベンジャミン・W・レイモンドと6人の委員会が、

イリノイ州シカゴから西にある小さな町・エルジンに、

「ナショナルウォッチカンパニー」を設立することから始まります。

設立メンバーの中には、ウォルサム社で働いていた時計技術者も含まれていました。

1874年に、エルジン・ナショナル・ウォッチ・カンパニーと社名を変更し、

規模的にも大手時計メーカーの仲間入りを果たします。

1886年には2300人もの人々が工場で働き、1日に1000個のムーヴメントを生産していました。

エルジンもまた他のアメリカの時計ブランドと同じく、戦争との関わりが強いブランドです。

第一次世界大戦中の1916年には、アメリカ陸軍及び海軍に供給。

第二次世界大戦がはじまると、航空機の精密部品と軍用時計の製造を専門的に担うことになり、

一般用時計の生産を一時中断せざるを得なくなります。

当時の広告を見ると、このようなメッセージがありました。

「軍事時計優先のため、一般用は品薄状態です。勝利するまでしばしお待ちください。」

そのような時代の1940年5月1日、このA-11は数千人以上の兵士に支給されました。

その時納品されたA-11の多くはELGIN社の物で、基本的にA-11で使用されるムーヴメントは

キャリバー539というもの。

ハック・ウォッチと呼ばれ、リューズを引くと秒針が止まる機能の付いた時計でした。

しかし、このご紹介する時計に入っているムーヴメントはキャリバー647。

当時エルジンが誇る高級機です。

刻印されてる4ADJ’Sとは「4姿勢差」というのを意味しています。

1.水平姿勢(文字盤上と文字盤下)で誤差が生じる

2.垂直姿勢(9時上、6時上、3時上など)で誤差が生じる

3.水平姿勢の日差と垂直姿勢の日差の間に差が生じる

といった問題を、この時計では4ADJ’Sで誤差が出ないように特別に調整されているのです。

というのは、軍用時計で時間誤差は作戦遂行上致命的。まさに命に関わる重大な問題。

ただし、このような時計を何千何万もの兵士に支給するには、時間的にも予算的にも不可能です。

事実、エルジンや他のブランドも含め、一般兵クラスにはここまでのグレードの物は支給されておりません。

基本的に、7石~15石の使い捨てのムーヴメントが搭載されていました。

ですので、パイロットにだけ特別にこのキャリバー647を載せていた可能性もあり、

もしかしたらたまたま高級機を間に合わせで載せていたという可能性も。

想像が膨らみます。



そしてさらなるポイントは、上記写真の黒い歯車。まるでウニです!

これはソフトメタルで作られており、耐磁性・耐摩耗性・耐久性に優れた

錫・鉛を母材とした合金で、時計の歯車には理想的な素材なのです。

そしてこの黒さ、黒光り、ダークマターぶりを見る限り、

ほぼ使用感がなく状態は極上と言えるでしょう。



ちょっとお高めなのは、状態の良さが原因です!

ちなみにコインエッジベゼル。つまりギザ10(コットンのことではない)みたいな

ギザギザしたフェイス回りは防塵仕様。

防水仕様のスムースタイプ(ツルっとしたベゼル)よりも、個人的にはコインエッジが好きですね~!



それでは大きさをご覧ください。

こんな個体、2度と出ないんじゃないでしょうかー!





それではまた。お店で会いましょう。