diaries blog | TENDER Co.(テンダー)| Type748 Ambler Coat

※10/2(木)・10/8(水)・10/9(木)・10/16(木)・10/22(水)・10/23(木)・10/30(木)は、休店日とさせていただきます。

※夜は閑散としてるので、当面の間18:30閉店です。(割と19時まではいます。お電話いただければ待ちます!)

※2月にオーダーいただいた1ST PAT-RNの製品は、10月上旬に入荷を予定しています。

※6月にオーダーいただいたOLD TOWNの製品は、10月下旬~11月上旬に入荷を予定しています。

※今後のイベント日程は以下。

・12/6,7,8にアンティークウォッチフェアを開催致します。

 

 

 

 

 

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「日本酒の日」だそうです。

この時期の日本酒の楽しみ方といえば「ひやおろし」という、夏に熟成させたお酒のこと。

とげとげしさがなく芳醇な味わい。まさに秋の味覚にぴったりなお酒というわけです。

というわけで、今週末は「つくば食堂花」を予約済み。食欲の秋を満喫中でございます。

 

そして本日も、DIARIES16周年のお祝いin La Stalla

2皿目も、これまたDIARIESを支えてくれている料理。

茨城北部といえばの「目光(めひかり)」は、これまたDIARIESのお客様でもあるN本くんの船で水揚げされたもの。

N本くんと佐藤シェフの魂が籠った仕事の結晶を、ありがたく頂戴いたしました。

 

白身はふっくら、脂はさっぱり。

「メヒカリは揚げない」というのが、N本くんから教わった地元の食べ方でもあります。

メヒカリって脂が多いので、脂に油(=揚げる)を加えるとしつこくなってしまうと言われ、なるほどな~と。

焼いて脂を落としたくらいでちょうどいいというか、その方がメヒカリ本来の旨さが分かるんですね。

 

という食べ方は、N本くんからDIARIESで話している時に聞いた話ですが、

偶然にもその通りの食べ方をLa Stallaで食べることができるという幸せ。

やっぱりプロは分かってるんですよね。

そんな素晴らしい人・店に囲まれて、僕は幸せでございます!

明日の活力!美味しいワイン!

 

 

 

じゃ、商品紹介です。

ドウゾ!

【ブランド】TENDER Co.(テンダー)

【アイテム】Type748 Ambler Coat

【価格】¥176,000‐

【コメント】

いやちょっと待って待って、紹介するのまだ早いんじゃないの?DIARIES今年一番の目玉だし。

でもな~届いちゃったら紹介しないわけにもいかないよな~と愚図愚図してたのですが、

10月1日だし、衣替えだし、秋冬に向けて気合いいれていこうと思うので、重い腰を上げます!笑

(ブログ書くの嫌なわけじゃないんですけど、情報量が多い服の説明かくと、燃え尽き症候群になっちゃうんですよ)

そんな言い訳はほどほどにして、ご覧いただきましょう。

TENDER Co.のコートです!!!!!

展示会で見た時、「あ、もうコレだわ」って感じで決まりました。

あとは何着オーダーすることができるか?(僕のチキンぶりが試される時ですね。)

出した答えは、2色3サイズで10着は欲しいという希望でした。

通常のところ各サイズ1点づつのDIARIESとしては、約1.5倍のオーダー数になるので、暴挙っちゃあ暴挙です。

 

でもね、今回の素材を見せられた時、「あの時の分を取り戻したい」って思ったんですよね。

それはどういうことかというと?

この素材は、TENDER Co.で13年前にリリースされたことのあるものだったんです。

あの頃は恥ずかしながら当店も弱小の中の弱小で、このウールジャケットもいいなあと思ってたのですが、

当時はTENDER Co.のジーンズしかオーダーできなかったんですよね。

でもオーダーしなかったことを、その後とても後悔していて。

それが再び目の前に現れたものだから、そりゃもう頭に血が上っちゃいますね!

しかもその13年前ににウイリアムが仕入れたウールを使用しているので、ある意味デッドストックの糸というわけ。

 

で、その生地はどういうものかといいますと、「ジェイコブウール」と言います。

Jacobと書いてジェイコブまたはヤコブ。キリストの十二使徒の一人、ヤコブの名前を冠してしまうほどの品種ってわけです。

当然この羊の起源は古く、旧約聖書の「創世記」に登場する「ヤコブの羊」がその祖先だとされています。

17世紀に英国で品種として確立されましたが、ではいつから家畜として人間と付き合いがあるかどうかは、調べても分からないくらい古いんだそうです!

 

ではこのジェイコブウールですが、どのような特長を持つかというと、毛足が長く丈夫なウールです。

また、糸を紡ぐ際に空気をたっぷりと含むため、軽くても厚みと弾力性に富み、高い保温性を持っています。

多少の雨や雪にも強く、耐久性に優れています。また非常に張りがあり、シワになりにくいです。

 

実際に思ったのは、お店に届いた時折りたたまれて送られてきたのですが、

普通はしっかりシワが付いてしまうはずが、ハンガーに吊っておいたら、比較的早くシワが取れてしまったことです。

復元力が高い=張りがあるってことです。

 

それは生地の作り方にも秘密があると思います。

今回は生地が「ダブルフェイス」で織られています。

ダブルフェイスというのは、両表ってことですね。どっち側でも使える生地のこと。

なので今回のダッフルコートは2色展開ですが、1枚の生地なんです。

茶色い側を表にしてるか、紺色側を表にしてるかってだけ。(リバーシブルではありません)

さらには茶色い方は、「未染色」の糸を使用しています。

未染色というのは、洗っただけでほとんど手を加えてない状態ってことですね。

なので羊毛のポテンシャルが最大限に発揮されていると思います。

 

ものすごく由緒正しいジェイコブウールの羊毛を、未染色の状態で最大限に味わうことができるって、ちょっとすごくないですか?

しかもブラウンでもネイビーでも味わえるというのが、これまた良い。

そしてまた荒々しいブラウンに対して、ネイビーは今度は繊細なんですよ。色に奥深さがある。

これ、よく見たらダークネイビーとブルーの糸を交織させて、奥行きのあるネイビーに仕上げてるんです!!!

 

まいったねこれは。

そしてまだ素材の説明しかしてない。まいったまいった。

 

では次にデザインの説明に移ります。

今回、TENDER Co.にしては珍しく?分かりやすいヴィンテージネタを元にしています。

それはコチラ。

買い付けたのは2020年が最後。正直、販売して後悔しているアイテムの1つです!泣

こちらは1940年代、ロイヤルネイビー(イギリス海軍)のダッフルコート。しかもショート丈の方!!!!!

これを元にTENDER Co.が作ったってだけで、TENDER Co.好き&古着好きの私はノックアウトされてしまうんです。(もうノックアウトは嫌なのに)

なのでトグルが3本なんですね!

当然ヴィンテージを軽く超えてくる我らがTENDER Co.でございます。

このトグルの素材を聞いた時、手が震えました。

 

なんと「マホガニー材」だっていうんですよ。

知ってる人が聞いたら、「え?ダメじゃん!」って思いますよね!

だってワシントン条約で規制されてる木材ですからね。

 

ちなににマホガニー材というのはどういう特長があるのかというと、

深みのある美しい赤褐色と、光の当たり方で表情を変えるリボン杢が特徴で、古くから高級家具や楽器などに使われてきました。

そのあまりの人気により、マホガニーは歴史的な乱伐や違法伐採により資源が枯渇したため、

現在ではワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって、天然木の国際取引が厳しく制限されています。

ではこのトグルで使用されているマホガニー材はどこから持ってきたのかというと、なんと古い家具等から削り出したものになります。

このトグルはFSC認証マホガニー材となり、回収された材料のみを100%使用したマホガニー製品を指します。

これは、新たな木材を一切使用せず、使用済み製品などから得られた再生材で製造されるため、資源の循環利用を促進し環境保護に貢献するというものです。

 

なるほどその手があったかー!って感じです!!!

ちなみにマホガニー材がワシントン条約で規制されはじめたのは1975年のことなので、それ以前の木材だと思います。

 

そういや6月に訪れた水戸近代美術館のウイリアムモリス展でも、マホガニーの家具が展示されてましたよ!

これはもう1800年代で古すぎますけどね、でも深くて良い色です。

説明にも書いてありました。

こっちのキャビネットで使われているマホガニー材の方が、TENDER Co.のコートのトグルに近い気がしますね。

おそらく、壊れて使えなくなったこういった家具から削り出したんでしょうねえ~。

まだまだこんな隠し玉持ってるなんて、ホントまいります。

 

しかもこのトグルの形にも、ストーリーがあるんです。

アメリカ独立戦争中の1777年から1778年にかけての冬、大陸軍が宿営地としたペンシルベニア州にある場所にバレーフォージという場所があります。

それまで大陸会議の開催場所、首都であったフィラデルフィアをイギリス軍に占領され、その冬ジョージ・ワシントン将軍は、最も困難な状況に置かれていました。

しかしその間、軍隊を再訓練し活性化させる期間でもありました。つまり、アメリカ独立のために困難を乗り越えた場所でもあります。

そのバレーフォージにて、兵士たちが携行していた牛の角で作られた裁縫キット(ハウスワイフと呼ばれている)の形だそうです。

 

このストーリーも、アメリカに居を移したTENDER Co.らしさを感じますね。

だって「アメリカ独立戦争」ってどこから独立したと思います?イギリスですよ!

イギリスからアメリカに渡ったウイリアムの覚悟とも受け取れるのではないでしょうか!!!!!

 

またこのトグルの削り出しは、イギリスのナイフ職人により1点1点手作業で行われています。

ナイフの柄の部分を作るようにってことですかね。

 

最後は服の構造に関してです。

TENDER Co.らしいボックスシルエット。大き目ですね。

商品名のAmbler Coatは、現在TENDER Co.が活動拠点とするペンシルベニア州フェニックスビルからほど近いアンブラー(Ambler)

という町の名前から取りました。

また、Amblerという言葉には「ぶらぶら歩く」という意味もあり、ゆったり着るようなリラックスしたデザインにもなっています。

横から見ると、非常に違和感があります。

TENDER Co.がよくやる、縫製部分を腕の内側ではなく外側に持ってくるやつです。

極厚の生地で無理やりやってるので、縫製部分が膨らんで大変です!笑

 

なぜこんな服作りの常識ではあり得ないことをやってしまうかと言うと、まずこれをご覧ください。

こちらのパターンは、背中のセンターで生地を接いでますが、

そのまま生地を前合わせまでぐるっと巻いちゃうので、サイドに縫い目がないんです。

なので肩線に合わせてダダダダーッと袖の縫製を繋げちゃうから、こうなっちゃうんですね。

ワークウェアらしいディテールでございます。

またこのミニマルさもTENDER Co.らしいところ。

特にこの「身頃をたった2枚の布で構成する」構造は、TENDER Co.では「バタフライブロック」と呼んでいます。

蝶が羽ばたくように布を使うからってことですね!ロマンチック!!!

 

最後は着心地。

背裏・袖裏ともにコットンドリル(これもイギリスらしい!)の裏地を当てているので、脱ぎ着はスムーズです。

TENDER Co.が裏地を付けてくれるって、かなり珍しいんですよ!笑

また、ポケット補強のヘリンボーンテープもイギリスらしくてGOOD。

先ほどのロイヤルネイビーダッフルもやってますし、イギリスのワークウェアあるあるディテールでもあります。

 

というわけで着てみました。

思わずイギリス軍グリーンデニムに合わせてしまった・・・ゴリゴリだ・・・

インナーはOLD TOWNのジャーキンベストで、これまたイギリス軍テイスト。もはやコスプレですね!笑

袖は長いので、折って着ても良いと思います。

前を開けて裏地を見せると、印象が若干軽くなって着やすいですよ!

TENDER Co.にしては珍しくバランスの取れた服だと思います!!!!!

 

 

以上、今年一番の目玉を紹介してしまいましたが、まだまだ面白いアイテムが控えてますので、お付き合いの程よろしくお願い致します。

 

それではまた、お店で会いましょう。