Workers(ワーカーズ)のTeds Jacket

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「あかりの日」だそうです。

イサムノグチのakariを買うなら、人形町のオゼキがオススメですよ!

そしてオゼキのショールームに行ったら、近くの「シュークリー」という店のシュークリームがオススメ。

どれくらいオススメかと言うと、人気過ぎて2回行ってもまだ食べたことがないくらいオススメです。

つまりまだ食べたことがありません。

 

 

じゃ、商品紹介です。

ドウゾ!

【ブランド】Workers(ワーカーズ)

【アイテム】Teds Jacket

【価格】¥35,640-(税込)

【コメント】

この時を待ってた!!!

3年ぶりに届いたWORKERSのTeds Jacket。

前回買い逃したことをとても後悔してて、展示会後にオーダーしてから届くのをずっと楽しみにしてたやつです!

個人的には、WORKERSのアイテムの中で一番好きなアイテムじゃないかな?

 

それでは詳しく見ていきましょう。

まずこのTeds JacketのTedsという商品名は、テディボーイズ=テッズではなく、

WORKERSのデザイナー・T野氏の友人Tedsさんという人名からきています。

(テッズ=モッズ・ロッカーズ以前のロンドンの不良スタイルです。)

なぜそのようになったかというと、そのTeds氏がT野さんにアメリカの木こりの写真集を見せ、

「こんなジャケットが欲しい」と言ったのがきっかけとか。

 

ちなみにその写真集というのがこちら。

Kinsey Photographer The Locomotive Portraits

デイヴ・ボーンにより、1970年にTabitha Kinsey(タバサ・キンゼイ) が撮った古い写真のネガが発見され、

長い年月をかけ復元されました。

アメリカンヴィンテージ好きなら、資料としても使えるものだとか。

木こりの写真集というより、Locomotive=蒸気機関車時代の写真集でした。

その中の木こり=森林伐採業の集合写真がこんな感じです。

この中にいるのかな?Teds Jacketの元になったのを着てる人。本物のLogger(ロガー)ですよ!靴もヤバそう!

こっちの写真だったら、小さすぎてもっとヤバイ!

木材をガン積み、いやゴン積みしているアメリカのスケールのデカさにウケますね。

 

そしてこの中の2㎝程度の写真から、おそらくルーペなどで研究し想像を膨らませデザイン画を起こし、

豊富なアーカイヴを持つT野さんならではの知識を元に、ディテールが決められていったんだと思います。

 

そういや先日、同じくWORKERSのMFG Shirt(Click!)のブログを書いた時に、「レプリカブランドとしてのWORKERS」と書きましたが、

こちらのジャケットは「デザイナーズブランドとしてのWORKERS」を象徴するアイテムだと思います。

レプリカブランドとしての研究結果を元に、さらに一歩先へ進んだアイテムとなっています。

それはまさに「想像のヴィンテージ」であり、また「ヴィンテージを創造」することになったのではないでしょうか?

「昔はこんなジャケットがあったんじゃないか?」から作られた方法論は、

diariesで取り扱うブランドでいえば、テンダーのジーンズも同じです。

 

前置きはこの辺にしておいて、いよいよディテールです。

まず見て欲しいのがこの生地。

Workersが組織から作り上げた完全別注生地のモールスキン。

元となったのは、ワバッシュなどで耳にするStifel社です。

ルーペで拡大しながら織り方を分析。

そして生地メーカーに作ってもらうために、分かりやすく作った資料がこれ。

(ちなみに、こういう風に織ってね、または編んでねと自分で作ってから工場に持っているやり方は、

diariesで取り扱っているニットブランドのcomm.arch.さんもやってました。

自分で作れるからこそ、工場との交渉が上手く行き、納得いく服が作れるんだと思います。)

でもここまでやっているからこそ、欲しくなるんです。

ちなみにワーカーズからのアドバイスですが、この生地は着ているうちに白い糸が引っかかって

切れてしまう時があるみたいです。

そんな時は、布用か木工用ボンドで生地がほぐれていかないようにして下さいとのことでした。

そんなケアでいいの?と思いましたが、生地から作った人が言うんで間違いないです。

 

そういやこのStifel社の同じ生地のジャケットとパンツが、水戸のPOSITIVE THINKING(Click!)さんで

デッドストックが売ってましたよ!!!

当時物にこだわりたい方は是非。といっても1年前のことなので残っているかどうか???

 

とにかくまあこの生地の再現性というのがホントすごくて、デッドストックのものと見比べても遜色なし!

着こむのが楽しみな生地なのであります。

 

そしてこの生地を元に合わさったディテール。

なんとも言えない形の襟は、カバーオール(レイルロードジャケット)をベースに考えられました。

ついてるついてるチンストラップ。

 

シガレットポケット?のようなチェンジポケットは、カーコートから。

細い両玉縁がGOOD!

 

カフスはスポーツジャケットから。

今回はメタルボタンというのが良いです!袖を振るとカチャカチャ音がなるのが良い!

 

そして作りは、フレンチハンティングジャケット風をトレース。

身頃はゆったりで袖も太いのが特徴です。

重ね着しても着ぶくれしにくく、また動きやすいので冬まで着ることができます。

中はニット、スウェット、インナーダウンでもいいですね。

さらに前を開けて気になったのがボタンの配列。

ボタンの並びが湾曲しているのが分かりますか?

これに関して、私もどう説明しようか色々考えてみたのですが、どうすることもできず。

なので思い切ってデザイナーさんに聞いてみました。

その答え。

「・古着の独特なフォルムを再現するために型紙を抜いた→それが前上端が肩に向かって倒れていて、

それを後ろ身頃で戻すと結果、サイドネックを基点に裾が脇方向へ逃げる形だった。

(と思う、このあたり人により理解・認識が違いますが、私はそう考えています)

・前ホールは前端線から一定距離にあるためホール位置が湾曲する。

しかし、前中心は直線であるため、当然、ボタン位置もホールに合わせて湾曲させた

・実際の縫製現場では、先にホールを開け、上下のボタン位置を決める。

それに従って一着づつ、ボタンの位置は服の前合わせをしながら決めていく。

型紙そのままだと、どうしても誤差が出る為。

非常に効率が悪いが、このような型紙、また特にジャケットの場合ボタン位置を一部「あてがいぶち」で決めるのは必須。

ボタン位置は単純に型紙の位置だけで決めるのではないのです。それを基準にしながら、最後は現物に合わせて決めます。

ボタンダウンなどもそうで、ボタンダウンのボタン位置は最初の一枚をボディに着せて決めて、

その位置からゲージを作りボタン位置を決めています。」

とご教示いただきましたが、一般の方には半分くらいしか分からないと思います。

 

でもあえて舘野さんからのメールを載せました。

その理由は、服ってのはボタンの並び一つとってもこれだけの試行錯誤とプロセスを経ていて、

言葉では言い表せないくらいの秘密が隠されているのが伝わればいいなと思ったからです。

もちろん服だけじゃないけどね。世の中なんでもそうだと思いますけど。

 

このジャケットのボタンを留める時に、ふと思い出してもらえれば。

Pants/WORKERS (Maple leaf pants) ¥20,520-

Shoes/YUKETEN (Avanico) ¥70,200-

 

 

それではまた。お店で会いましょう。