diaries blog | LE TRAVAILLEUR GALLICE(ル・トラヴァイユール・ガリス)| Le Veste -Pastel-

※10/26(水)・10/26(木)は、休店日とさせていただきます。

※夜は閑散としてるので、当面の間18:30閉店です。(割と19時まではいます。お電話いただければ!)

※コロナ対策実施中です。

 

 

ダイアリーズの今日は何の日?

今日は「世界パスタデー」だそうです。

というわけで、どこの観光地に行ってもパスタ屋さんてありますよね。

いかに「洋」をセンスよく生活に取り込むかが勝負みたいなところありますが、(インポートセレクトソップやってるお前が言うな)

そろそろ日本の本当の魅力について考えていきたいフェーズに入ったかと思います。

というわけで、那須の本当の目的はコチラ!

生地の大勉強!

榀布(しなふ)とは、日本三大古代布に数えられる布。

ちなみに他の2つは、静岡の葛布と沖縄の芭蕉布。

榀布は、樹皮から糸を作ります。

上のアイヌ文様ぽい榀布もすごいけど、津軽こぎん刺しとのコラボ?はヤバい!カッコいい!!!!!

こぎん刺しを取り入れた服、入荷させたいところです!

そしてもう一つ、度肝を抜かれた素材がコチラ。

ぜんまい織

なんと!?まさかのぜんまいから糸が作られています!!!!!

このぜんまいのふわふわの部分だけを集めて、半年くらいかけて糸にして作られる途方もない素材。

天ぷらにしてバクバク食べてる場合じゃなかったわ・・・

本当に、私達の祖先が行ってきた営みは、凄まじいものがあります。

いや、凄まじいとか言ってるのは、今の価値観で難しく考えすぎで、生きるってもっとシンプルだったんじゃないかな。

 

なんてことを考えつつ、私もシンプルに好きな洋服に囲まれていたいだけなので、

流行が~とか、他のお店がどうの~とか、お客様のニーズは~とか一切考えずにセレクトしております。

なので在庫が足りなかったり、欲しい物が無い時はスイマセン。

 

というわけで、本日もシンプルに楽しんでほしい服をご紹介。

ドウゾ!

【ブランド】LE TRAVAILLEUR GALLICE (ル・トラヴァイユール・ガリス)

【アイテム】Le Veste -Pastel-

【価格】¥23,100-

【コメント】

およそ2年ぶりのブログ登場になります!ガリスのモールスキンジャケットのパステル染め!!!!!

改めまして、半年ぶりのご紹介となるので、まずはブランド説明からどうぞ。

LE TRAVAILLEUR GALLICE (ル・トラヴァイユール・ガリス)は、

フランス中東部の都市・リオンに程近いビルフランシュ=シュル=ソーヌにて

1895年に創業したETABLISSEMENTS GALLICE社によるワークウエアブランドです。

120年以上前に生まれたこのブランドは、フランスワークウエアの黎明期を代表するブランドの1つであり、

フランス最古のワークウエアブランドの1つです。

彼らのワークウエアは多くのフレンチワーカーたちの生活を支えてきました。

フランスワークウエアの代名詞とも言えるアイコン、モールスキン。

かすかな光沢を伴い、密度高く織り込まれたその生地は、

見た目がモグラの皮に似ていたことからモグラの皮=MOLESKINE(モールスキン)と呼ばれました。

その誕生はより強固な作業着を求めるワーカーたちの声によるものでした。

モールスキンは製鉄所での作業中、飛び散る火花が多少付着したぐらいでは

ビクともせずに工員を守る事ができ、当時としては画期的な耐久性を誇りました。

時を経た現在、モールスキンはその手間のかかる生産工程から、決して安いものではなくなり、

作業着として用いるには幾分高級すぎる生地となり、他の廉価な生地にその座を明け渡しました。

しかし、使いこむほどに味わいを増していくその生地は、

デニムのように経年変化を伴い、所有する喜びと育てる楽しみに溢れたものです。

LE TRAVAILLEUR GALLICE社の手掛けるBLEU DE TRAVAILコレクションは、

失われつつある本物の物づくりを後世に伝えるべく、モールスキンに特化したラインナップを展開しています。

モールスキンの魅力を今一度体感してほしいという願いを込め、

伝統的なワークウエアのディテールを踏襲したベーシックアイテム群は

今もなおフランスで生産されるモールスキンを用い、

フランスのワークウエア専業工場にて生産されています。


 

というブランドですが、オススメする理由は「純フランス産」てこと。

これだけフレンチモールスキンが多くの人に認知される=流行ると、当然のように後発ブランドが増えてきます。

しかし、元々フランスで生まれたモールスキンながら、未だにフランス製のモールスキン生地を使用し、

フランス国内で縫製されているアイテムというのは非常に稀。

なので、フランス製と書いてあっても生地はフランス製ではなかったり。

反対に、フランス製にこだわらずにクオリティを求め、結果日本製になったりと様々。

 

このようにして、自分の周りに多くの選択肢が出た時、何をどうやって選べばいいか逆に迷いますよね?

それはセレクトする僕らとて同じことなんです。

ではそんな時どうするか?

やはり「基本に立ち戻る」ことですね。

そもそもフレンチモールスキンがなぜいいか?

 

そんなの「なんとなく良かったから」なんですけどねーーー!笑

 

だから20年前に初めてフレンチモールスキンに触れた時の、

その「なんとなく」を一生懸命に自分の引き出しから引っ張り出して、それに合致するものを選び抜くんです。

そして現時点で出せる答えが、このLE TRAVAILLEUR GALLICE(ル・トラヴァイユール・ガリス)のモールスキンジャケットなんです。

古き良き時代は、ポケットがVヘムでした。

何を元にしたか知りませんが、エルボーパッチが付いてます。

エルボーパッチが最初から付いているヴィンテージのモールスキンジャケットなんて見たことありません。

でも、元の持ち主が後から付けたものならあったりします。

あえて、オリジナルに忠実ではないのも魅力です。

古き良き時代は、やっぱりブランドタグの気合が違いました!

そしてプリントより刺繍です!

というか、まだプリント技術が発達してないので、1940年代以前は刺繍が多いですね!

そんな古き良き時代のフレンチワークカバーオールを、もっともっと古くから続くあの染めで別注しました!!!!!

 

そう、パステルです!!!!!

 

で、そもそもPastel(パステル)って?ということになりますが、それはこんなもの。


Pastel Bleuは、ホソバタイセイ(isatis tinctoria)を用いた染色方法で、「世界最古のブルー」と言われています。

その起源は古代エジプトまで遡り、16世紀末にインド藍(タイワンコマツナギ)が輸入されるまで、

ブルーを表現できる唯一の染料としてヨーロッパで重宝されていました。

パステルは、まずホソバタイセイの葉を摘み取り、すり潰し、乾燥させた後、

その繊維を発酵させ、グレープフルーツ大の大きさに丸めます。

そしてできたのがCocagnes(コカーニュ)という染料の塊。

コカーニュは、金にも並ぶ貴重な物として、大切に扱われてきました。

パステルの一大産地であったフランス・Toulouse(トゥールーズ)はその産業で栄華を極め、

そのブルーは富の象徴とされ、ナポレオンは彼の軍隊の制服にパステルブルーを用いました。

しかし、バクテリアを用い発酵を促しながら進めるコカーニュ作りや染色作業は、

非常に熟練した技術が必要で、安定した色を出すためには、天候や気圧にまで注意しないといけません。

そのため、16世紀末に安価で扱いの用意なインド藍がアジアから大量に輸入されることで次第に衰退し、

さらにドイツで合成インディゴ染料が開発されることで、技術の伝承は完全に潰えたかに思われていました。

しかし後年、この失われつつあった伝統技術を継承すべく、数名の有志がPastel Bleuの復活を試み、成功させます。

現代でもこの技術を扱える職人は数えるほどしかいませんが、そのスピリットは確実に次の時代へと受け継がれています。


 

ダイアリーズのブログを以前からご覧の方なら分かりますよね。

ホソバタイセイ。テンダーのウォードと同じ染めです。。。

フランス製のモールスキンをパステル(=ウォード)で染めたやつ。

これだけでヤバイのは分かりますよね?

もちろん、ただヤバイのを作りたくて別注したわけではありません。

本来、インクブルーと言われるフレンチワークジャケットが、王道中の王道としてありましてね。

今はブラックの方が人気だけど、注目される前は「らしい」インクブルーの方が人気あった気がするんだよな。

あ、これは私物のHervier Productionのモールスキンジャケットです。

10年前のウチの商品ですけど。

今じゃブラックモールスキンの方が圧倒的に人気がありますが、

色の合わせやすさと絶対数が少ない=レアと考えれば、

ヴィンテージ市場ではそりゃ人気が出るに決まってます。

でも、本当はインクブルーの方がメジャーということを考えると、

このインクブルーが正式な色となった意味は、その背景として

Pastelがフランスを象徴する色だった、なんて考えてもいいと思うんですよ。

なので、インクブルーのフレンチワークジャケットが誕生する遥か昔、

フランス革命が起きた頃、もしかしたらこんなワークジャケットがあったのではないか?

そんな思いからこのジャケットをオーダーさせていただきました。

だけど1点、昔とは違うところがあります。

それはステッチ。

Pastelという染め自体がずっと昔から続く天然染料なので、

同じく天然繊維しか染めることができないんです。

なので、綿100%のボディはちゃんと染まっていますが、ポリエステル糸は染まらない。

だから、結果的にステッチは染まらず白いままなんです。

すごいでしょ?

天然染料は天然素材しか染められない。

Ape Shall Never Kill Apeみたいな。(何が?)

 

着てみるとこんな感じ。

最近はみんな、フレンチワークジャケットをいかに雰囲気あるように着こなすか、

みたいなところがありますが、昔はもっと適当に着てましたね。

気負わず適当に着た方がかっこいい場合もあります。

むしろ、こういう硬い素材はきまくってナンボ。

硬いままだと全然かっこよくないんですよ。

ガンガン着て、ガシガシ洗って、適当に着て欲しいジャケットです!

 

 

 

 

それではまた。お店で会いましょう。